でいりいおくじょのBLOG

2020.01.19

映画日記「博士の愛した数式」

先日見た「雨あがる」が、あまりにもいい映画だったので

すっかり小泉堯史監督ファンになった私。

もっと別の映画も見てみたい気持ちが抑えがたく、

 

「博士の愛した数式」を見てみました。

 

原作は小川洋子さんで

私、小川洋子さんの大ファンなので、もちろん原作は読んでいます。

しかも「博士の愛した数式」は、小川洋子作品の中でも特に好きな作品

 

でも、好きな作品だったから

公開当時は、あえて見なかったんです。

原作があまりにもよかったから、

映画を見るとがっかりするにちがいないって

なぜか思い込んでいたもので。

 

でも、小泉堯史監督作品と分かれば、見ないわけにはいきません

 

ストーリーは

80分しか記憶が持たない天才数学者の“博士”と

博士のところに派遣された家政婦の杏子さんと、その息子の話です。

 

博士は80分しか記憶が持たないので

杏子さんとは、毎日“はじめまして”で

毎日「君には息子がいるのか」と聞く。

 

毎日、毎日、同じことの繰り返しなんだけれど

博士は、毎日毎日、今を生きているんです。

 

しかも博士の頭の中にある世界は

様々な数字が、きちんとした秩序で存在していて

美しい世界を作っているの。

 

博士は言う。

いろんなものに左右されない真実は目に見えなくて

その目に見えない世界が、目に見える世界を支えているんだ。

 

実は、博士と義理の姉の間には

秘密にしている過去があるんです。

 

博士の記憶は80分経てば消えるけれど

その悲しい過去が消えるわけではなく、ずーっと続いていて

義理姉の方は、それをずっとひきづっているわけです。

 

消える記憶と

続いていく時間と

 

それが、どこまでも続いていく数字の世界とクロスしていく不思議な感覚は

監督の演出の妙ですね。

素晴らしい。

 

博士の愛した数式は

eπi+1=0

 

eはネピア数と言われる、とんでもなくややこしい定数

πは円周率で、これもまた宇宙の果てまで続いていく果てしない数字

iは虚数というわれるもので、これまたわけのわからない数字

 

eの肩にπとiがのっかっている。

eのπi乗

 

小説を読んだ時

この数式があらわす意味を自分なりに考えたんですが

 

eπi+1=0

ならば

eπi=-1

 

eπiを複雑な人間の存在と考え

人間というものは、複雑でありながら、常に何かが欠落した未完成なものである

という事を表しているのだと解釈しました。

 

未完成なものであるからこそ、

誰かに助けてもらって生きていると。

 

ところが、この映画をみて、

博士のセリフを聞いて、考えが変わりました。

 

1とは何なのか、それは難しい問題だ。

一つの中に全体が調和していて美しい

良いこととはそういう事なんだ

 

そのセリフが何を意味するか。

 

eπiは、人間という理解不能な生き物が生きているカオスな世界。

そこに1という何かが加わることで

ゼロになる。

つまり調和がとれて、美しい世界になる。

という事なんじゃないかと思ったんです。

 

1とは何か。

 

それは、目には見えない心の中にある何か。

愛情とか、やさしさとか、信念とか、希望とか、

言葉でいうと、薄っぺらくなってしまうけれど

なにかもっと、ゆるぎなくて、ささやかだけれど、大きなもの。

 

人と人を結びつけるものは

目に見えない心の中にある

大切なものは心の中にあって

その不思議な力で、人は出会い、つながり、たすけあう

見えない”1” によって人は今を生かしてもらっている。

そういう世界が美しいのだと。

 

この映画は、そういうことを教えてくれているのだと思いました。

 

やはり小泉堯史監督の映画は、人間賛歌ですね。

本当にいい映画でした。

 

博士

コメント

  1. 鈴木千鶴子 より:

    おはようございます
    いい映画でしたね。ずいぶん前に地上波で観た気が
    しましたが、確かに原作の小川洋子さん好きです。
    やはり 監督から映画に興味を持つのも一緒です。
    ただ違うのは、数式を自分の生活に置き換えていらっしゃる
    ”なるほど なるほど““そうだなあ そうだなあ”…と
    一線で活躍されている方だなーと感心した朝でした

    さー、ラジオ体操して一日が始まるぞー
    大切な一日にしよー…っと

    ps.昨日は娘の〇〇回目の誕生日🎂一児の母となり
    頑張って共働きで 頑張ってます。中島みゆきの“誕生”
    一人歌って乾杯🥂しました💕娘にとどけ🎈

    1. 奥薗壽子 より:

      お誕生日おめでとう
      お母さん記念日おめでとう。
      子供の誕生日の回数は、母として成長した年月でもありますね。
      おめでとう、おめでとう、お母さん。これからのたくさんの幸福に乾杯です。

  2. 鈴木千鶴子 より:

    おはようございます &ありがとうございます awwesome❣️
    奥薗先生からのメッセージに大泣きして 目が覚めました(最高な始まりに…💓)
    そうなんですよね いつの頃から気ずいた 自分記念日
    いっぱいいっぱい 褒めてあげた夜 息子と飲んだウィスキーロックで乾杯🥃したよ
    生ハムと黒オリーブ もちろん主役は 大根のサバ缶で、、。(よいしょでもないよ
    ホントに美味しい 手軽 栄養あって 心があったかに←生姜のせいか笑)

    作るの大好き、片ずけ嫌い だからコンサルおくじょ の料理はだーい好き

    ps.大泣き いかに主婦っていう職業 褒められないんだなーと思って。
    大河「 麒麟がくる」池端ファン 二度も観てツイッター開けたら、デイリーおくじょが空いた朝に 感謝🙇‍♀️✌️

    1. 奥薗壽子 より:

      「麒麟がくる」始まりましたね。
      池端氏、いいですよね。
      インタビュー記事を読んで、めちゃめちゃ期待大です。

      NHKドラマだと大仏開眼とか足尾から来た女、よかったなあ。
      最近の映画では「破獄」、よかったです。

  3. 足立区一のお調子者f@ より:

    僕は高校の代数、赤点で追試、ハクション大魔王のように「だけど数字にゃ泣けてくる」けど、eπi+1=0を僕なりに解釈できるか?と思い「博士の愛した数式」を観てみました。eπiとはカオスな世界を不完全にだけど表していて、それを定義しようと+1と人為的な計算を入れると0つまり無になってしまうと僕は解釈しました。eπi=eπi。計算定義せず直感的に=で結ばないとそのカオスな世界は表現できない把握できないものと僕は勝手に解釈しました。映画としてもルート記号の寝ぐせ、春の野草摘み、波打ち際のキャッチボールなんかが良かったです。数学苦手ですが、考えるのは楽しかったし、映画としても楽しめました。ありがとうございます🙇‍♂️それでは失礼致しますf@

    1. 奥薗壽子 より:

      博士の愛した数式は深い映画ですよね。
      本を読んで、映画を見て、そのたびに、いろんな発見があって
      もう一度本を読んだら、また新たな気付きがある気がします。
      すごいね。

  4. 足立区一のお調子者f@ より:

    「博士の愛した数式」。eπi+1=0。eπi=-1。こんな簡単な足し算引き算も出来ないなんて・・・😢やっぱり数学は赤点ですね😢でも映画は面白かったです🎞ありがとうございました🙇‍♂️f@

    1. 奥薗壽子 より:

      私も文系人間なので、数学は苦手です。
      1+1は別に2じゃなくてもいいし、だいたい2くらいでいいと思っています。
      きちんと答えが出ないのも幸せな気がするんです。

足立区一のお調子者f@ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。
また、* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。

内容に問題なければ、下記の「送信」ボタンを押してください。

PageTop