でいりいおくじょのBLOG

2022.06.13

読書日記「流浪の月」

本を読む時間がない、ないと言っていても仕方ないし

時間が出来たら読もうと思っていたら、一生読めそうにもないので

今日は、仕事をお休みにして読書デーにしてみました。

 

そんな日もあっていい。

 

って言うか、そうしないと、心が瘦せる。

 

今日読んだのは

「流浪の月」

 

2020年本屋大賞受賞作で、かなり話題になっていました。

でもその時は、なんとなく流行りの本を読むのが嫌で(あまのじゃく?)

次の年、再び本屋大賞にノミネートされた

「滅びの前のシャングリラ」の方を先に読みました。

 

その時に、この方の文章は、なんかどんどん読みたくなるような

なんとも言えない不思議な魅力があるなあと思い、

その時から、流浪の月は読みたいと思っていたのです。

 

が、

なかなか時間がない。

 

そうしたら今年、映画化されたということを知り、

これはもう読むしかない!!

ということで一気読みしてしまいました。

 

いやあ、せつない話です。

 

小学生の時に

お父さんを亡くし、お母さんから捨てられ、おばさんのところに預けられた更紗。

いとこの孝弘に性的ないたずらをされても我慢することしかできず

次第に居場所を失っていきます。

 

その時に、たまたま知り合ったロリコンの文。

 

文の家についていき、一緒に暮らし

つかの間の平穏な日々を過ごすのですが

ロリコン男に誘拐された少女ということで大事件になり

更紗は警察に保護され、文は逮捕される。

 

一緒にいた時間は本当に幸せで

おばさんの家にいるほうが、はるかにつらかったのに

更紗は世間的にはかわいそうな被害者となり

何も悪いことなどしていない文も加害者の烙印を押される。

 

やがて15年がたち

二人は再会するのですが

過去の事件の記録はネット上に残り

今もなお、生々しさは消えることなく生き続けています。

 

あの時、一緒にいた時間は

更紗と文にとっては幸せであったのに

事件として残っている”事実”は、まったく違うことになっているのです。

でもそれを、消すことはできません。

 

かわいそうな子として、見られることも

あんな目にあったのに、しっかり生きている偉い子という風にみられることも

本当の更紗とは、まったく違うイメージだし

 

文に対するイメージも、本当の文とは違う。

 

真実は、更紗と文の間にしかなく

その本当のことは、15年間変わることなく、

ずーっと二人の心の中にある。

 

更紗と文の間にあるものは

愛とか、恋とか、そういう単純な言葉では表せない何か。

性別を超えた何か

 

 

「事実」と「真実」との間の溝は埋まることはない。

そのことを改めて思う。

 

分かったような優しさは

時としてナイフにもなる。

 

そういう意味では

報道や、ネット動画などによって

事実として刻印されてしまう事の怖さを改めて思う。

 

当事者以外、誰も本当のことなど分からないのに

まるでそれがあたかも本当にあった「事実」のように思ってしまう。

そして、それを信じることで

真実をゆがめてしまうことに加担してしまう危険が私にもある。

 

いやあ、途中3回くらい号泣しました。

 

切ないわあ。

 

読み終わった後も

ずーっと二人のことを考えています。

 

良い小説でした。

おすすめです。

 

流浪の月

 

 

 

コメント

  1. こうのゆかり より:

    日めくりレシピ以外の投稿も好きです
    小説興味を抱きました
    真実は小説より奇なり、そんな想いを予想させる内容です
    読んでみようかな

    1. 奥薗壽子 より:

      凪良ゆうさんの小説には、何かちょっと枠にハマりきらない世界観があって
      そこがなんとも魅力です。
      読み始めたら止まりません。流浪の月、おすすめです。

  2. 匿名希望 より:

    以前ネットで
    先に自分がやりたい事をスケジュール帳に書き込んでから空いた日に仕事のスケジュールを入れているという自営業の人の意見書いてました

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