家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
京都に河井寛次郎記念館というのがあって
昔、よく行っていました。
河井寛次郎のお屋敷がそのまま記念館になっていて
ご家族が大切に守っておられるんです。
だから、記念館ではあるのですが
まるで個人のおうちに伺うような感じで
何か妙にくつろげるんです。
昔はよく、ふらっと立ち寄ったりしていました。
私はそこで、民藝という言葉に出会ったので
民藝=河井寛次郎って言うイメージが勝手に出来上がっていました。
でもね、正直、民藝にはそんなに心惹かれませんでした。
って言うか、よくわかんなかったんです。
だから、読むと書くの教室で
しばしば柳宗悦の名前が出てきて
どうやら民藝の人らしいというのを知っても、それほど心が動かなかったんです。
若松先生の著書の中でも
しばしば柳宗悦の名前と民藝の話が出てくるんだけれど
そのたびに、何か、すごく違和感みたいなのを感じていました。
それが、つい1か月くらい前
思ってみなかった出会いがありました。
4月からNHKラジオの「宗教の時間」という番組で
若松先生が一年間、柳宗悦の話をされるというのを聞いて
テキストを買ったんです。
「柳宗悦 美は人間を救いうるのか」(若松英輔著 NHK出版)
正直、そんなに心躍る感じではなかったんですが
とりあえず、読んでみようって言う感じで読み始めました。
そうしたら
いきなり柳宗悦のイメージが180度変わって、
自分でもびっくりです。
このテキストの冒頭の所にも書いてあるのですが
柳宗悦って、美術評論家だと思っていたんです
「これは民藝だけれど、これは民藝でない」
みたいなことを言っているだけの人だと。
民藝って、民衆的工藝の略で
飾るためでなく、日常で使うために作られたもので
名もなき人たちの作品に真の美がある
っていう事なんだけれど
結局は、
自分がいい悪いを判断してるんやん!!
って思って
それに、ものすごく違和感があったんです。
ところが、
このテキストを読んでみると
それが全然違うってことがわかりました。
更に、
深い霊性を宿した宗教哲学者だという事が知り
見え方が全く変わって
なんてすごい方なんだろうって思って
ものすごく心惹かれました。
びっくり。
柳宗悦って日本民藝館を立ち上げる前に
ウイリアムブレイクの評伝を書き
木喰上人の研究をし
雑誌白樺を立ち上げ
その白樺の中で、西洋の絵画における美を日本に紹介し
朝鮮民族美術館を立ち上げ
ものすごくたくさんの事をやっておられて
その延長線上というか
一つの到達点としての日本民藝館の創設だったのですね。
って言うか
そういう風に書くと
その、実績がすごいみたいに見えるんだけれど
そうじゃなくて
何か大きな力に導かれて
運命としか言いようのないように人や物が引き寄せあって
柳宗悦を突き動かしていく、
その見えない力のようなものに、ものすごく畏怖を感じたんです。
だから実績もすごいけれど、
柳宗悦という人に、すごく惹かれるものを感じたんです。
なんか、うまく書けません。
柳宗悦という人は、自分がこれをやってすごいなんて
全然思っていなくて
自分でも、大いなる力によって動かされていると思っているような
無私の人なんです。
本当に美というものを愛し
それによって、人と人、国と国、民族と民族が
等しくつながって、平和になることを望んでおられたんだという事も
すごく伝わってきました。
上手く書けないのですが
その無私、無欲,無名的な感覚に
ものすごく心惹かれました。
昨日は日本民藝館に行ったのは
柳宗悦の、美に対する思いというものを
自分なりに感じたいと思ったからでした。
ラジオでの話を聞いて
もう一度、このテキストを読んでみると
更に感じるところがありました。
ラジオも、このテキストもおすすめ
そして、日本民藝館もおすすめです。
NHKラジオ らじる★らじる
というアプリをダウンロードすれば
聞き逃し配信が、いつでも聞けます。
私もそれで聞いています。
コメント
今日のお話に出てきた柳宗悦さんと聞いて思い出したのが、柳宗理さんでした。調べてみたら柳宗悦さんの息子さんで日本民藝館の館長もされていたんですね。柳宗理さんのデザインされたステンレスボウルやフライパン、鍋など調理の際に愛用させていただいていたのですが、デザインも優れていてしかも機能的で、やはりお父様の美的感覚を受け継いでおられたのではないかと感じました。
そうです、そうです。
先日は、ご兄弟が暮らしておられたおうちの方も、見学しました。
テキスタイルの方をやっておられる方もおられるようです。