でいりいおくじょのBLOG

2020.03.03

読書日記「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

本屋さんで平積みになっていて

話題になっているから、ちょっと読んでみるか、くらいの軽い感じで手に取りました。

 

「僕はイエローでホワイトで ちょっとブルー」(ブレイディみかこ著 新潮社)

 

著者はイギリス在住の保育士。

アイルランド人の夫との間に息子が一人。

 

この息子が、地域のトップクラスのカトリック公立小学校から

学校ランキングの底辺の公立中学校に入学したところから話は始まります。

(入学当時は、校長先生の努力で、かなりランキングは上がっていた)

 

カトリックの中学校の方は、高級住宅地近くにあり、裕福な家庭のこともが通うきちんとした学校で

息子が通うことにした方は、労働者階級の子供たちが通う、かつてはかなりあれていた学校

 

まあ、この辺は、私自身、普通の公立の学校で育ったので

それが、いったい何の問題があるのか、って感じでしたが・・・。

 

正直イギリスに、それほど興味があったわけではなく

中学生の息子の話っていうのも、もはや自分との接点があまりないので

軽く話題の本を読んでおこう、くらいの感じで読み始めたんです。

 

ところがです!!

 

読み始めたら、めちゃめちゃ面白い。

ほとんど興味もなくて、期待もせずに読み始めたのに

もう、読み始めたら夢中になって、一気読みです。

 

何に、そこまで引き付けられたかというと

ずーっと日本で暮らしている私や私の子供が

おそらく、経験も想像したこともないようなことが、

当たり前に存在している世界があるんだという事に、まず愕然としたんです。

 

それは、つまり、人種問題とか、宗教的な事とか、

東洋人に対する差別とか、子供の貧困問題とか、里親とか。

とにかく、知らないことだらけでした。

 

タイトルの「僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー」というのは

著者の息子が書いた言葉なんだけれど

東洋人(黄色人種)の母と、白人の父との間に生まれた子供で、気持ちはちょっとブルーであるという意味。

 

イエロー(東洋人)であることは、イギリス社会の中で、ある意味差別される要因でもあり、

しかも、日本人の母と、アイルランド人の父との子で、イギリス生まれ。

自分のアイデンテイテイーに悩むことにもなります。

 

けれど、けっして、それは、マイナスな事ではない

この息子は、賢くて強い。

 

この本の中に

「表出する」という事と「存在する」という事は別物

という事が書かれていたのですが

 

この言葉は、この本を読んですごく考えさせられることでした。

 

日本で暮らしていると

この本に書かれているようなこと(差別とか、貧困問題とか、人種問題とか)は、ほとんど表出してこない。

 

でも、存在していないのかというと、そうではない。

 

日本の場合、存在はしているけれど表立って見えていなくて

深い部分で渦巻いている、もっと根の深い問題として存在していることもあるような気がする。

 

それにしても、自分の無知さにあきれた。

そして同時に、この息子のすごさに唸った。

こんな深いことを、11歳くらいで考えられるのか

びっくりです。

 

でも、たぶん、いろんなことを俯瞰でみて、きちんと自分の意見を持って

それをきちんと主張できる力がないと

生きていけない世界なのかもしれません。

 

私は、本当にぼーっと生きてるなあって思って、深く反省しました。

視野がぐぐぐぐぐと広がり

誰かと、まじめに語りたくなりました。

是非読んで、私と語ってほしい。

おすすめです。

 

2020年3月2日本

コメント

  1. どすこい より:

    こんばんは!
    昨日、この本をテレビで紹介していました。
    私も正直、この本にあまり興味が無かったのですが、電子本のお試し版で読んでみたら、続きが読みたくてたまらなくなり思わずポチってしまいました
    (^◇^;)
    いろんな意味でかなり勉強になりそうな良書なので、今から読み進めたいと思います

    1. 奥薗壽子 より:

      私も最初、半信半疑で手に取ったんですが
      読みだしたら、めちゃめちゃ面白いです。また、感想聞かせてくださいね。

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