家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
本や映画やアニメが大好きなんですが
なかなか、そういうことを話す友人がいなくて
というのも、本好き、映画好きでも
好きなジャンルが違うと、なかなか話が合わなかったりするもんね。
それで、こんな風にでいりいおくじょのに自分勝手に感想を書いていたら
面白い映画とか、面白本を教えてくださるようになって
ネットというのは、こういう広がり方もするんだなあと分かって
なんだか最近、ますます楽しい。
この映画も、たぶん、教えてもらわなかったら一生出会ってなかったと思います。
「ソローキンの見た桜」
舞台は四国松山です。
時は日露戦争直後。
松山に作られた、ロシア人捕虜の収容所の話です。
そこに収容されてきたロシア人兵ソローキンと
その収容所で看護婦として働く、たけだゆいという女性のラブストーリーです。
そもそも、日露戦争の時に、
松山に捕虜収容所があったという事自体初めて知りました。
敵国の兵隊を受け入れるって、本当はいやだったんじゃないのかなあって思う。
だって、身体の大きいロシア人の男性がたくさん四国に上陸してくるというのは、
正直恐怖だと思うんです
しかも、人口3万人の町に、ロシオ人捕虜9千人やってきたそうですから
これはもう、大変な事です。
そういうとんでもない状況でありながら
きちんと礼節をもって、
けがや病気の看護をし、食事などの身の回りのお世話をしてあげるの。
松山の人たちって、なんて親切で優しい人たちなんだと、もう尊敬尊敬です。
病気やけがの手当ては、人として、見て見ぬふりはできないとは思うけれど
洗濯をしてあげたり、
彼らの口に合うような料理を作ってあげたり
本当に、ただただ頭が下がる。
食事シーンで
肉を焼いたステーキみたいなのを食べていて
日本の肉は固くて口に合わない、みたいなことを言ってるシーンがあるんだけれど
わたしは、何ゆーてんねん!!!、思ったりした。
だって、日本人が肉を食べ始めたのって明治以降で
そんなやわらかい肉もないし、ステーキの焼き方だってわからないし
それでも一生懸命ロシア人の口に合う料理を作ってあげているのに
松山の人って、本当にまじめで涙が出るほど親切。
で、恋に落ちたソローキンとゆい
ゆいには、実は結婚することになっていた男性がいて
その当時、家が決めた結婚というのは絶対で
ソローキンへの気持ちと家との間で、悩み苦しむことに。
やがて、ロシアで革命がおこり
ソローキンは革命に参加するために収容所を脱出する決意をするの
しかも、ゆいをロシアに連れて帰ろうとする
これは、さすがに無謀だろ?
って思うんだけれど・・・・・。
この先どうなるかは、ネタバレになるので、映画を見ていただくとして。
いずれにしても、
松山の人は、最後の最後まで、本当にいいひとやわあ~っていう事が
一番心にしみました。
あっ、そうそう
捕虜収容所長役のイッセー尾形さんが私的には良かったです。
以前見た“沈黙”という映画のキリシタンを弾圧する代官とめちゃかぶった。
あの映画でのイッセー尾形さん演じる代官って
にこにこしているんだけれど、めちゃめちゃ残酷で嫌な奴で
あの映画の後味の悪さを全部引き受けたような役なんです。
イッセー尾形さんの、意味不明な笑顔がなんとも言えず旨いなあって思う。
外国の人から見た日本人はこう見えているんだろうなあというところを
めちゃめちゃ上手にデフォルメされるなあって、感心する。
日本人特有の柔和なにこにこ顔って
一見優しそうなんだけれど、腹の中では、何を考えているのかわからない不気味さがある。
その感じが、すごくよく出てるんです。
この映画の所長は、
最初沈黙の代官とかぶって、絶対嫌な奴やんって思ったんだけれど
最終的にはいい人で良かった~。
ロシアの歴史が、いまひとつわかっていないので
なぜスローキンがそれほどまでの危険を冒して帰らなければならなかったのかが
ちょっとわかりづらかったのですが
全体としては、とてもいい映画でした。
教えていただいたことで、見ることができた映画。
そういう出会いに感謝です。
コメント