家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
まとまった時間が出来たら読もうと思っていた漫画を
ようやく読むことができました。
「バガボンド」①~㊲(井上雄彦著 講談社)
宮本武蔵が主人公の漫画で
本当の強さとは何か、という事を問いかけた作品です。
吉川英治の「宮本武蔵」をベースに
著者のオリジナルアレンジを加えて
新たな宮本武蔵の物語になっています。
何年か前に、吉川英治の「宮本武蔵」を読んで
人生観が、ガラッと変わったという事もあって
この漫画もどうしても読みたかったのでした。
原作の方は
宮本武蔵がいろんな人との出会いの中で
成長していく物語で
人はどう生きるべきかという事の方にテーマがあったように思いますが
漫画の方は “強さ”というものに、よりフォーカスしたストーリーになっているように感じました。
時は、関ケ原の戦いの後。
つまり、剣の強さによって、地位やお金が保証されるような時代が終わろうとし
戦で人に勝つという事=強さという価値観が崩壊しつつある時です。
それでも、武蔵は、ひたすら剣で強くなることを望みます
天下無双を目指し
様々な人と剣で戦っていくのです。
負け知らずの武蔵
どんどん人を切り、人を殺し
確かに剣では強くなっていきます。
けれど、その一方で心はどんどん空虚になっていく。
そして、思うのです。
人を切り、人を殺して勝つことに何の意味があるのか
勝てば、更なる敵が現れ
憎しみは増幅され、功名心は尽きることがない。
自分は一度も負けていないけれど、
天下無双などというのは、しょせんただの言葉で
何の意味もない。
人に勝つことだけが強さではない。
本当の強さとは何なのか
そこから、本当の強さを手に入れるための修業が始まります。
確かに
人に勝つ、という事は、強さの一部であって全てではない、
敵は自分の中にもいるのです。
臆病、弱さ、不安、嫉妬、功名心、欲
なまけ心、慢心、思い込み、プライド等等・・。
臆病であること
弱さから目を背けないこと
どんな状況でも自分を信じられること
自分以外の誰かのために必死になれること,等々
目の前の敵以上に
自分の中の敵と戦いは壮絶で
それを乗り越えねば、前には進めない。
私自身、弱くて臆病で、すぐに自信を無くしがちで
自分の中にある臆病さや、弱さを、直視するのはつらく、
強くなりたいなりたいと思いつつ
おびえて、逃げ出したくなることが多々あります。
その、自分の内なる敵に勝つために
どれだけのものを乗り越え、
どれだけ強くなる必要があるのかを思うと、気が遠くなる。
でも、弱いからこそ、強くなりたいと思う。
弱さから目をそらさず、弱さを受け入れ
こつこつ努力すること
そこに、強くなるための道があると思っています。
努力し続ける自分を認める一方で
努力し続けたことに慢心しないこと
自分の弱さをよりどころとして、謙虚に強くあろうとすること
そこが大事なんだと思う。
強くなれたかどうかではなく
弱くて臆病なままでもいいから
強くなりたいと思い、努力し続けられるかどうか
強い人などいなくて
強くなりたいと思い続けられる人がいるだけ
お杉ばあさんの言葉が心にしみました、
強さの対極にあるものは優しさだと思う。
強くて優しい人になりたいと思います。
この時期、
自分の内面を見つめなおしたいという方に
おすすめです。
(小説の方も是非)
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