家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
生活はどんど便利になり
暮らしは日々変わっている
けれどそれらは、人間の質や幸福感の向上とは、なんら関係ない
「おじさんはなぜ時代小説がすきか」(関川夏央著 集英社文庫)
時代小説が好きなんです、昔から。
おじさんじゃないけど、好きなんです。
けれど、考えてみたら、時代小説を読んでいるおばさんというのは
あまり聞いたことがない。
時代小説に夢中になるのは、やっぱりおじさん。
なんでですかねえ。
この本、はっきり言って、その問いに対する答えはないです。
タイトルと中身がちょっと一致していない。
ただ、日本を代表する時代小説作家ごとに解説してあって
ああ、おじさんはこういう風に歴小説を読むのか、というのはよくわかった。
例えば、山本周五郎の「樅の木は残った」
20代の頃に読みかけて、あまりの長さに挫折。
その後、再挑戦して、なんとか読破したものの
正直、さっぱり訳が分からなかった。
伊達藩のお家騒動なんだけれど
そもそも、なんで命をかけてまで争うのか、まったくわからなかった。
ところが、この本で詳しく説明してもらって
自分で読むよりも、すごくよく理解できました。
そういう事ってありますよね。
全然関係ないけれど
ドフトエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」も
梅原猛先生の解説書を読んだ方が
自分で読むよりもはるかによく理解できたもんね。
あんな感じ。
吉川英治は、「大衆とともにある」ことを望み
司馬遼太郎は「日本とは何か」を問い続け
藤沢周平は、日本の歴史の裏側で、人知れず懸命に生きた人を書き続けた。
そこそこ、そこにグッとくるんです。
私が時代小説に惹かれる理由は
やっぱり、登場人物の生きざまなんだと思う。
宮本武蔵とか
「燃えよ剣」の土方歳三とか
「竜馬が行く」の坂本龍馬とか
私の中では、永遠のヒーローです。
そういう意味では
国盗り物語の中の、斎藤道三とか
山岡荘八の織田信長とかも
読めば大好きになる。
結局、物語の中で、登場人物と一緒に生き
一緒に苦しみ、考え、乗り越え、挫折し、受け入れる
そういう疑似体験をさせてもらいながら、
自分自身を振り返るのが好きなのかもしれません。
ある困難な状況になった時、人はどう生きるべきかとか
その時、人は何をするべきかとか
自分なら、どうする?
という事を、
自分自身に問い続けたいんだと思う。
義理や人情や意地や矜持を
命よりも大事にする生き方を
バカみたいと思いつつ、かっこいいと思ったりする一方で
自分の大事にしていることを守り
自分がいいと思うように生きる
結局、それが幸せな生き方なんだと納得する。
絶大な権力を持っても
すごくお金持ちになっても
それと同等の負荷が必ずかかっているし
人間の欲望はどこまでも尽きることがなく
欲望の中で自分を見失った時
何が幸せかという事も見失う。
幸せとは何か
後悔しない生き方とはどういうことか
その答えが、すべて詰まっているのが時代小説なんだと思う。
時代小説はやっぱり面白い。
コメント
私も時代小説が好きで、
検索していたら、奥薗先生のところに着きました。
結婚当初、奥薗先生のお料理本に大変助けていただきました。ボロボロになるまで使いました。
時代小説が好きと書いてあるのを見て嬉しく思い、メールしてしまいました。
これからも、応援してます♪
コメントありがとうございます。
時代小説って、なんか面白いですよね。
大好きです。