家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
昔から、政治経済コンプレックス。
その手の話についていけないことがしばしばです。
今年はなんとか、苦手を克服しようと思っていたら
最近、マルクスの資本論が読み直されているというのを知り
この機会に、私も勉強してみようかと思って本を手に取りました。
「池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」」(池上彰著 ホーム社)
こういう時は、やっぱり池上先生ですね。
池上先生が高校生向けに集中講義されたものをまとめた本です。
この本をいきなり読んでも、もしかしたら理解できないかもと思って
一応、マンガ「資本論」を読んでから
この本に挑みました。
けれど、高校生に向けて語っている、話し言葉のまま活字になっているので
すごーく読みやすかったです。
最初、物と物との交換をしていたのが、
物と物と間に、価値という概念が発生することで貨幣が生まれ
貨幣価値によって、資本という概念が生まれてきたこと。
労働というものも、一つの商品価値であり、
労働力をいかにうまく使って利益を上げることで、資本家が生まれた
資本主義というのは
単に、自由競争の中で、お金という価値基準で物事を考える方法だと思っていましたが
この本を読んでみると、そういう事ではなく
社会の構造を作っている考え方だという事がわかりました。
因みに、この本の中には、
資本論の原文が随所に出てくるのですが
いやいやいやいや、めちゃめちゃ難解です。
これを自力で読むのは、不可能ですわ。
池上先生の説明はとっても良く分かったのですが
さてそれを、現実の問題として考えるには
まだもう少し、頭の中を整理して
どういう風に、考えればいいのかを、頭の中で熟成させる時間が必要かも。
池上先生も最初におっしゃっているのですが
マルクスの経済論について、正しいとか間違っているとかというという事を議論するのではなく
これを読んで、自分はどのように考え
その結果、どのように働くのか、最終的に求めるものは何か
という事を考えるきっかけにするべきなのだと思いました。
働くという事とお金持ちになるという事はイコールではありません。
資本主義社会の中で、資本を中心に物事を考えていくと
間違いなく格差社会になることが決定づけられています。
そして、富裕層は安全地帯にあり
労働者階級が、共食いを始める。
それはまるで、映画「パラサイト」の世界です。
半地下生活者が戦ているのは、同じ階層の人間どおし
必死で生きている労働者階級どおして、働き口を奪い合い。
下手をすると、もう一つ下の地下に落ちてしまう。
あの構図が、資本主義の行き着く先で
あの映画は、なんと見事にそれを描き出しているのかと
あらためて、すごいなあと思いました。
だからこそ、今、何が起こっているかを知ること、
今自分が何をするべきか考えることは大事なんだと思います。
少なくとも、この本は
そういう事を考えるきっかけを与えてくれました。
今の時代、マルクスが19世紀に書いた通りの形に資本主義社会が行きついています。
びっくりするくらい、予言通り。
だからこそ、今もう一度読み直されいるような気がしました。
原文を読むのは、かなり大変そうなので
池上先生の解説、わかりやすくておすすめです。
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