家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
この本が、ベストセラーになっていたとき(もうかれこれ7年くらい前になるんですね)
一度読みかけたのですが
どうしても、読み進むことができず挫折しました。
けれど、心の中のもやもやを取り除きたく
今なら読めるかも、と思って再度手に取ってみました。
「嫌われる勇気」(岸見一郎・古賀史健著 ダイヤモンド社)
この本はアドラーの心理学を、
哲学者と青年の会話を通して分かりやすく解説した本です。
アドラーというのは、フロイト、ユングと並ぶ心理学の三大巨頭の一人。
私はもともと心理学には興味があり、本もいろいろ読んではいたのですが
そのことが逆に、アドラーの考えを理解できなくさせていたのかもと思いました。
というのも、心理学というのは人の心を分析する学問だと思い込んでいて
自分はなぜ、こんなに苦しかったり、自分を肯定できなかったりするのかを
教えてくれる学問だと思っていたのです。
だから、今自分の心の中にある苦しさは
幼少期に、こういう育て方をされたからだとか
こういう経験がトラウマになっているからだとか
自分の過去に起こったことに原因があって、こうなっている
という風に関連つけてもらえたりすると、
ある意味救われたような気がしたものでした
ところが、アドラーはそうではないというのです。
過去起こったことは、一つの事実だとして
それを、どういう風にとらえ、どういう風に解釈するかは自分自身がそういう風に判断したからであって
過去が原因で現在があるのではなく
今起こっていることは、すべて自分がそうなるように選んだことなのだと。
この部分が、以前読んだ時には、どうしても納得できませんでした。
考えてみたら、
自分のコンプレックスを
すべて過去のせいにしておく方が、楽だったんです。
この本の中では。そうじゃないということが、
先生と青年の会話から浮き彫りになっていきます。
いままで、自分が目を背けていたこと、
傷つかないようにするために、そう思いたかっただけなのだという現実を
次から次へと突き付けられます。
正直、心が痛いです。
だから、以前は読み進めなかったんだと思います。
でも、いったんその痛みを乗り越えたら、あとは一気に読み進められます。
いや、そのあとも心にグサグサ突き刺さります。
本当に痛いです。
全ての悩みは、他者との関係から生まれてくるので
他者と自分の関係性をどうとらえるかについて書かれている部分は
痛みを伴いつつも、とても心に響きました。
自分は他者の期待を満たすために生きているのではない。
だからこそ、相手のわがままな要求や傍若無人な態度や、理不尽な行いに腹が立つ。
けれど、それは裏を返せば、
自分もまた相手に対して自分の思い通りに動くことを強制していることになる。
自分が、相手の期待を満たすために生きているのでないのと同じように
相手もまた、自分の期待を満たすために生きているのではない。
だから、相手が自分の思い通りのことをしてくれなくてもしかたない
お互い様。
それを役割の分離というそうだけれど、
自分の課題と、相手の課題を、きちんと分けて考えることができたなら
確かに、心の中のもやもやがすこしなくなったきがしました。
この本は、ある意味かなりの劇薬ですが中毒性も強いです。
一冊読み終わったら、もっと知りたくなってきます。
かなり刺激は強かったですが
今まで、見えていなかったことにも気づくことができ
腹が立つことの裏に隠れていた
たくさんの感謝にも気づきました。
どう生きるかのカギは、すべて自分自身が持っている。
そして、何が幸せかの判断基準も、すべて自分の中にある。
なぜこうなったかを考えるのではなく
これから何ができるのかを考えなるべきだ。
そのことを、この本から学びました。
これは、読んだ方がいいです。
おすすめです。
コメント
初めまして。
日めくりレシピ、強い味方です。
お料理研究家?がどんなことを考え、ねらって作るのかが分かり、とても勉強になります。
私にも作れそうと思わせてくれて、実際に作ってみると、美味しい! 最強の指南役です。
『嫌われる勇気』読まれたんですね。
私は、すんなりと、そうだよなと思いながら読みました。
そして、最近『幸せになる勇気』という
その続編にあたる本が出ていることを知り、読みました。
教師になった「青年」がとてもお前の言う通りになどできないと
また押しかけてきて、議論が展開します。
ほぼ全編、教育論かと思ったほどです。
こちらも読む価値があると思います。
私は、上下関係でなく、
対等な人間関係が心地いいんだよなと思いながら読んでいます。
私も教員でした。
すでに定年退職して、畑で可能な限り自給…
あとは、卓球をやって遊びまくり、
映画にTVドラマに、読書に…毎日の新聞、2紙を読み、
けっこう時間が足りなくなります。
つれあいは、5年前に、病気で先立ってしまったので
料理しない限り、畑でどんなに実りがあっても
それは、フードロスとなります。
奥薗さんが強い味方である所以です。
奥薗さんは、中国語を大学で学ばれたそうですが、
私も1970年代前半に、大阪で外国語大学で学んでいました。(朝鮮語科)
この辺で、失礼します。
いつもありがとうございます!
こんにちわ。
うれしいコメント、ありがとうございます。
*
「嫌いになる勇気」は、それまで読んだ本とは全く違う考え方を教えてもらって
確かにそうだなあと感じました。
実は「幸せになる勇気」も読み始めたのですが
いったん「嫌いになる勇気」を自分の中で消化してから読んだ方がいいような気がして
今、間に別の小説を挟んで、時間をおいているところです。
岸見先生の書かれた別の本も、待機中です。
*
おっしゃる通り、私も人間関係は対等な横のつながりがいいなと思っています。
そうできたならば、本当に幸せだなあと感じています。
*
日々充実しておられるのが、文面から伝わります。
興味や好奇心を持って暮らすのは、楽しいですね。
是非料理も、楽しみながらやってみてください。
私のレシピがお役に立っているようで、本当にうれしいです。
分からないことがありましたら、何なりとご質問ください。