でいりいおくじょのBLOG

2013.04.16

どうせ死ぬなら「がん」がいい

前から読みたいと思っていた本がようやく手にはいり
読むことができました。
『どうせ死ぬなら「がん」がいい』
〈中村仁一、近藤誠著 宝島〉
 
この本は去年の年末から話題になっていて
読みたい読みたいと思いながらも、他に読まないといけない本などもあり
なかなか手にとることができなかったのですが
ようやく読むことができました。
 
この本は、医療の常識をくつがえす異色の医師同士の対談集です。
 
何が常識をくつがえす異色なのかというと
がんは、治療しないほうが苦しまずに、最後まで充実した時間を過ごせる
と主張しておられるところ。
 
そんなことってあり?
医療の進歩と、早期発見、早期治療によって
近年、がんは助かる病気になったのではなかったのか。
 
この本によると
日本人のがんの9割を占める『固形がん』は
〈固形がんというのは胃がん、肺がん、肝臓がん、大腸がん、乳がん
のような塊をつくるがんのことをゆうらしい〉
抗がん剤で治ることはなく
また延命効果さえ「ある」ときちんと証明されたデーターはない、
のだそう。
 
また、高齢になったら抗がん剤を使っても意味がなく
手術や放射線で治らない再発進行がんにも抗癌剤は効かないという。
 
手術や抗がん剤治療で体力が落ち、
結果として、副作用に苦しんだり、苦痛に耐えたりして、
挙句命を縮めることになると。
 
それに比べ、何もせず放置すれば
痛みも苦しみもなく、最後は平穏に死ぬことができるのだそうな。
 
更にCT装置の台数は日本が断然世界トップで
CT検査による被ばく線量もCT検査が原因の発がん死亡率も世界一
胸部CT検査一回で受ける被ばく線量は10マイクロシーベルト
原発事故で国が避難の目安にした年間被ばく線量20マイクロシーベルトの
約1/2の量を被曝してしまうという事実にいたっては
唖然となりました。
 
私自身CT検査を受けたこともなければ
知り合いで、受けたという人の話も聞かないので
正直全く知らなかったのです。
 
でも、病院に行って
CT検査をしましょうと言われたら
何も知らないままに、被曝してるってことも・・・・あり?
そんなことも考えました。
 
そんなわけで
最初は、半信半疑で読んでいたのに
読み進むうちに、お二人の先生方のおっしゃっていることが
どんどん心のなかに響いてきて
 
たしかに
医療が濃厚に関与するようになってきたことで
死というものが、
自分の意志とは関係ない所でおかしいことになっているきがすごくしてきて
 
もしも、ある日突然ガン宣告を受けたとして
この本を読む前だったら、
無条件に病院の先生のおっしゃるとおりのメニューで
直していただくことにナンの疑いも持たなかったと思うけど
 
この本を読んだら
そこに、治療をしない選択があるということを、始めて知ったのでした。
 
助かるかもしれないという、かすかな希望にすがるように
あちこち手術をして、抗がん治療をして
副作用にも耐え
あるいは胃ろうをつけて、食べ物を直接胃の中に流し入れて
そこに、本当に希望はあるのか。
 
治療を受けるのか受けないのか
まずそこから考え
治療を受けるとしたら、なにがYESでなにがNOなのか
そこまで、自分の頭で考えねば。
決して言いなりにならずに。
 
人は還暦あたりを人生の折り返しと考えて
『還り』の人生は『老いに寄り添い病に連れ添うのが一番』
という言葉も、深く心に響きました。
 
この本を読んだ私自身の結論としては
死は人生の総決算と考え
延命治療はもちろん、何もせず、自然のままの命の長さを受け入れる
そういうふうに死んでいくことが、自分の望むところだと、
そう思えました。
 
けれど、です。
 
物事は、そう単純なことではなくて
考えるべきことは、もっとあって
 
死というものを考えるときに
自分の死もあるけれど
それが、家族の死だったらどうだろうか
あるいは、友人の死だったらどうだろうか
更には、友人の身内の方の死だったらどうだろうか
と考えました。
 
同じように
何もせず、自然に任せて
最後の時を待つのがいいというふうに、割り切れるのだろうかと。
 
そこが、本当は難しい所で
治療しないという決断を、自分自身以外の人間にするとき
やっぱり、後悔や、苦しみや、悲しみが残る気がして
そこが、人間の弱いところなのかもしれません。
 

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