でいりいおくじょのBLOG

2021.03.21

読書日記「オルタネート」

本屋大賞候補作 6冊目読み終わりました!

 

「オルタネート」((加藤シゲアキ著 新潮社)

 

正直に白状すると

アイドルグループの方が書かれたということで話題になっているだけだと思っていました。

だから、そんなに期待もせずに読みはじめたんです。

 

ところが、ところが

思っていたのとぜーんぜん違う。

いい意味で予想を裏切らましたよ。

本当に面白かった~。

先入観で、読まずに終わっていたらもったいないことをするところでした。

 

さすがに、直木賞の候補に選ばれるだけのことはある。

 

物語の舞台は高校。

高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が高校生の中では必須となっていて

オルタネートなしでは。友達を作ることさえままならない状況。

 

主人公の容は、高校3年生で料理部

2年生の時に全国配信料理コンテストに出場したのだけれど

その時の敗北が心に傷を残しており

今年のコンテストに出場するか、迷っています

オルタネートはやっていない。

 

伴凪津は、オルタネート信仰者で

自分にピッタリの相手は、自分が選ぶよりもオルタネートに選んでもらう方が確実だと思っているのだけれど

オルタネートで彼氏ができる。

 

楤岡尚志は、高校を中退し

ドラムをやるために単身東京にやってくる。

高校を中退しているため、オルタネートが使えない。

 

料理コンテストで頭がいっぱいの容と

オルタネートで彼氏を見つけた凪津

オルタネートを使わず、人間関係と自分の未来を切り開いていく尚志

 

一見何のつながりもない3人のストーリーが

少しずつ、交わっていきます。

 

オルタネートというのは

要は、いま私たちが日常につかっているSNSと同じで

オルタネートが、この物語の中では

人と人とをつなげていく、大事な役割を担っています。

 

ただ、

SNSでつながっている人間関係ってどうなのよ、とか

SNSで割り出された相手を彼氏にできるのかとか

そういう単純な話じゃないんです。

 

オルタネートは、みんなが使っていて

知り合うにも、それなしでは連絡も取れないし

逆に、オルタネートを使えば、知らない相手とも友達になれる。

 

けれど、この本に登場する高校生たちは

決してそれを盲目的に信じて使っているのではなく

あくまで、出会いのきっかけとして使うだけで

最終的には、きちんと自分で考えることを怠らない。

 

たぶん、SNSに不慣れな私のような世代よりも

はるかに賢く、たくましくSNSを使いこなし

いいところも、悪いところも熟知しています

 

高校生といえば、まさに青春

この物語は、今どきの高校生を見事に描き切ったさわやかなストーリーでした。

 

料理コンテストに臨む容

そこで考え出される料理も見事で

どれも本当においしそうで

その辺も、読んでいてワクワクしました。

 

久しぶりに青春小説を読みましたが

後味のいい本でした。

 

2021年3月20日本

 

コメント

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。
また、* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。

内容に問題なければ、下記の「送信」ボタンを押してください。

PageTop