家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
昨日の新聞に
「糖質制限ダイエット、長期は危険?」
という見出しを見つけました。
新聞記事によると
糖質制限食を5年以上続けると死亡率が高くなるかもしれないという解析結果を
日本医師が米科学誌で発表したというもので
死亡率が高まる原因はわかっていないらしいです。
糖質制限食(ダイエット)というのは
米や小麦粉、砂糖などの糖質を含む食品を減らすことで
血糖値や体重をコントロールするという食べ方で
糖尿病の新しい食事療法として、ここ数年注目を集めている食べ方。
実は2年ほど前、糖尿病食の本を書くにあたって
いろいろ糖尿病の食事について勉強していて
もちろん、この糖質制限食についてもたくさん本を読みました。
でも私自身は糖尿病予備軍とか、軽い糖尿病なら
エネルギーをおさえつつ、
お腹が膨れて満足のいく料理だとか、
血糖値を急激に上げないような料理とか
バランス良く、手軽に美味しく野菜を食べられる方法とか
そういうものを紹介したほうがいいのではと考えて
その時は、糖質制限食は触れませんでした。
確かに糖質制限食は
血糖値を上げる糖質を食べないことで血糖値のコントロールをするので
糖質を摂らないことだけに気をつけていればよく
あとは、総エネルギー量だとか、栄養バランスなどは一切考える必要がありません。
メーンの肉や魚を好きなだけ食べてもいいわけで
お酒も、焼酎など糖質を含まないアルコールなら制限されません。
蛋白質や脂肪やアルコールを制限なしで食べられるので
あれこれ食べ物を制限されることの多い糖尿病の方にとっては
朗報のようにも見えます。
けれど糖質制限食については、賛否両論いろいろありまして
更にいうと
糖尿病でもない人がダイエットの目的で
自己流の極端な糖質制限をした場合のリスクもあちこちで言われていて
たとえば、去年の12月号の「栄養と料理」(女子栄養大学出版)でも
糖質制限食について大きく取り上げられていました。
それによると
(詳しくは、バックナンバーなども買えるようなので、読んでみて下さい)
糖質制限食のメリットとしては
エネルギー計算の手間が不要
食事に満足考えられる
食後高血糖を抑え、血糖コントロールを改善する
減量効果がある
デメリットとしては
食物繊維、ビタミン、ミネラルが不足する
(野菜の中でも糖質を含むものは食べれないため)
タンパク質の過剰摂取
脂質の過剰摂取
この中でもタンパク質の過剰摂取は腎臓に過剰な負担をかけるため
すでに糖尿尿の人は腎機能の低下を促進させる危険があり
また、脂質の過剰摂取は動脈硬化を促進させる危険があり
(飽和脂肪酸ではなく、不飽和脂肪酸を増やせば、危険は緩和できる)
また、
糖質制限食の中でも特に減量効果が高い「アトキンスダイエット」とよばれる制限食は
厳格に糖質制限をして、ほとんど糖質を摂取しないために
糖質をエネルギーとして利用できないので
脂肪分が分解されてエネルギーとして利用されるようになるのだけれど
(だから、減量効果が高い)
脂肪分解の際に、ケトン体というのが生産され
これを続けると、高ケトン血症というものを引き起こす、そうなのです。
何れにしても
この糖質制限食
お医者さんの指導のもとに
厳格過ぎないやり方で、制限していくというのは1つのやり方ではあるとおもいますが
自己流のやり方で、
特にダイエットの目的で
厳格にやってしまうのは、危ないんじゃないかというのが私の意見です。
食べることは楽しみでもあり
それによって、生きる希望や元気を得る手段でもあります。
この方法で元気になる人もいれば
この方法で、逆に体を壊す人もいる。
極端に何か一つのものを食べ続けるのも
極端に何か特定の栄養素を排除し続けるのも
根底にある危険性は同じように思うのです。
どう食べるかは、個人の問題ですが
だからこそ、いろんな情報をうのみにするのではなく
メリット、デメリットをきちんと比較分析して
取捨選択する必要があるのではと思います。
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