家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
今日、テレビを見ていて二落ちという言葉を知りました。
主にお芝居とかの世界で使われるそうなんですけど
初日は緊張していてきちんとできたものが
二日目に、その緊張が緩んだ途端、
一日目よりも悪い出来になるのを言う言葉だそうです。
その番組は料理の番組で
初めて作った時なすごくおいしくできたのに
二回め作ると、まずくなっている。
あれは、無意識のうちに、なにか手を抜いてしまうからだろうか
という話になっていました。
確かに、
二回めって、味が落ちる確率、高いと思います。
別に緊張感がなくなったわけでもないし
一回めと同じように作っているはずなのに
一回めほどおいしくないってこと
いや、本当によくある。
レシピを書くための試作をしていて
確認のためにきちんと計量して、作っていても
なんでか、味が決まらないことってあります。
料理って、つくづく怖いなあと思うんです。
レシピを作っている本人が、同じ割合で作っているのに
同じ味に仕上がらないなんて。
でも、そこがチャンスなんですね。
なんで決まらなかったのか。
食材が違ったからなのか
調味料が全て同じだとしたら
違っていたのは、どこなのか。
もしそれがわかったなら、
そのレシピを美味しく作るために、押させるべきコツはそこだということになります。
だから、私自身は
レシピを書くときに、一発でおいしくできたとしても
絶対3~4回は作るようにしています。
うまくいかない時があったほうが、よっしゃーと思う。
そうして、じっくり自分のやったことを反芻して
色々やってみて
時にわざと違うことなんかもやってみて
コツを見つけた瞬間は、かなり嬉しいです。
更にいうと
何回も続けて作っていると身体が上手に作るコツを覚えてしまうので
わざと間を空けて、身体が作り方を忘れた頃にもう一度作ってみたりします。
そうでないと、私が上手に作れても
初めてそのレシピを見た人が、間違いなく作れない気がして。
レシピは、材料や調味料の量だと思われがちですが
本当はそれだけではないんですよね。
でも、いろんなことを細かく伝えようとすればするほど
どんどん、複雑でわかりにくくなって
本当に伝えたいことと、言葉の間に溝が大きく開いてしまう。
ここ、すごくジレンマで
いかに簡潔にわかりやすく、ポイントを伝えるか
ここが、レシピを書くとき一番頭をつかうところです。
私だけじゃなくて、料理研究家という人はみんな
そんなことを日々悩み、試行錯誤しています。
だから、もし何か料理を作って二落ちしたとしても
どうか、3回め4回めもチャレンジしてみて下さい。
そこに確実にチャンスが有って
それまで見えなかったコツが見えてくる瞬間があると思うのです。
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