家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
今年は念願の減塩本を出す予定。
ずーっと勉強と試作を続けてきて
昨年末に無事撮影が終わって
今、それぞれの料理のコメントを書いているところ。
こういうコメントって、ライターさんに任せてしまう方も多いのだけれど
私は、自分の料理に関することは
自分の言葉できちんと伝えたいと思っているので
毎日コツコツ書いています。
(別にライターさんに書いてもらうことが悪いと言っているわけではなく
あくまで自分の言葉にこだわっている、ということです
言ってみたら、矜持ってやつですかね)
考えてみたら、
昨年は毎日毎日コツコツ減塩メニューを試作していました。
最初は、とりあえず味を薄くしたんですけど
そうなると、確実に家族の食べるテンションが下がるわけですよ。
家族のテンションが下がると、私のテンションも下がるわけでして
ああ、ホントなら、もう少し調味料入れたら美味しくできるのに~
って、事になる。
家族→寡黙になる
私→どんどん落ち込む
料理→食べ残しが増える
私→ますます落ち込む
減塩の負のスパイラルです。
これではいけないわけです。
家族の健康のために、減塩をするのに
食事時間が楽しくなくなり、食欲が落ち
料理をつくるのが苦痛になるなんて。
幸せに健康になるための減塩であって
苦痛を我慢して、ちっとも幸せを感じない減塩ではいけないのです。
薄味になれることは大事だけれど
おいしいと感じないで食べ続けるのは難しい。
喜んでもらえないだろうな、と思いつつ料理するのも辛い。
そこで、あれこれ試作を続け
やっぱり、行き着いたのは
前回の糖尿病予備軍の人のためのレシピを考えた時と同じ結論
減塩食というと、塩分制限を必要とする人だけの食事と考えがちですが
もし自分が塩分制限する場合
家族と違う食事を食べる、というだけで心理的な負担はないだろうかと。
家族はおいしい物を食べているのに、自分だけまずいものを食べさせられて、とか
自分だけ食べたいものが食べられない、とか。
でも、考えてみたら
塩分を減らして健康に暮らしたいのは
今、塩分制限をしなさいと言われている人だけではなくて
本当は、家族みんな、塩分を減らして
みんなが健康に幸せに暮らして方がいいはずなんですよね。
だから、減塩食は特別なものではなく
普段の食卓に載せられる、普通の家庭料理でなくてはいけない
やっぱりそこなんですよね。
だからやっぱり
単に塩を減らせばいいのではなくて
もっと違ったアプローチがあるはず。
例えば、
家族みんなで食べて、
ああ、ちょっと味薄いけど、これくらいのほうが素材の味があっていいよねとか
こっちのおかずの味が濃いから、これはこのくらい薄いほうが美味しく感じるねとか
いろんなことを、話しながら食べること
口に出して、わいわい言いながら食べることで
減塩が前向きになる
我が家では、実際そうでした。
熱いものは熱く
冷たいものは冷たく
和え物は和えたてを
炒め物は炒めたてを食べる
そんなちょっとした事でも
美味しさはずいぶん変わってくるんじゃないですかね。
もちろん、今回の本では
その後、試行錯誤の中で発見した
減塩しても美味しさが変わらないテクもたくさん紹介する予定です。
今や日本人の平均寿命
男性79.4歳(世界第4位)
女性 86.3歳(世界第1位)
その長い人生が、元気で楽しくなくっちゃ。
そのために、毎日の食生活が美味しくて楽しくて健康的でなくっちゃ。
家庭料理研究家として
ほんの少しでも、そのお役に立てればと思っているところです。
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