家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
昨日の本の続きなのですが
ほとんどの料理人の方たちが
最終的には料理は素材で決まる
と、おっしゃっていました。
確かに、深い知識と確かな技術の先には
もはや素材しかないのかもしれません。
けれど、
家庭料理の場合、果たしてそうだろうか、と思ったのです。
お店の場合
料理に対する対価ですから
良い食材をいい雰囲気の中で美味しく食べさせてもらえたら
お客は喜んでお金を払う
お金を得るということが料理屋さんには大切なことだから
普通では手にはいらない様ないい食材を使うことに価値があるわけで。
一方家庭料理の場合
使う食材は必ずしも、すごく美味しいとは限らない。
だって単に安売りになっていたから買ったものもあれば
食べる時期を外して、傷みかけたりしなびているものを
とりあえず料理しなくっちゃという時もある。
そんなベストじゃないものを使ってでも
そこそこに美味しい物ができあがる、ということが
毎日の家庭料理では、とっても大切なことなんじゃないかと思っています。
だから私は
特別なお店で他よりちょっと高くていいものを買うことはせず
普通に安く売ってるものを買ってきて料理します。
普通、料理研究家は、
値段が少々高くても、
美味しい物を手に入れて、
とびきり美味しい物を作るものなのかもしれませんが
私はわざと、しないのです。
もちろん、飛び切り美味しい味を知っておくことは必要ですし
時々は、買ってみて、ああこんな美味しい物もあるんだなあと思ったりするけれど
普段は、ごくふつうのものを買ってきて
美味しく作れるレシピを考えたいのです。
お金かけずに手間かけて
これがしまつを旨とする京都人の生活の心得。
手間は文字通り手間暇を指す場合もあれば
美味しくしたいという気持ちをさす場合もあります。
家庭料理には、その手間や気持が大切で
料理人にとって素材と同じくらいの意味を持つと思っています。
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