家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
今日はシチューです。
シチューといってもビーフではなく
ポークシチュー。
豚の肩ロースの塊で作るから
値段もうんと安上がり。
ビーフよりもあっさり軽い仕上がりです。
ビーフシチューはたしかに美味しいけれど
牛肉って、味と値段が割とわかりやすく正比例している食材ですよね。
以前シチューのレシピを作ろうと思って
繰り返し繰り返し牛肉を買っていたら
結構それだけですごい出費になって
かと言って、あんまり安い肉だと煮上がった時にパサパサして美味しくない。
そこで、とりあえず豚肉で試作して味を決めて
そのあとで牛で作ってレシピを完成させるほうがいいんじゃないというふうに思って
豚の肩ロースを使い始めたのがそもそもの始まり。
でも、繰り返し作っていると
確かに出来上がりの味はビーフシチューとは違うんだけれど
これはこれでありかも、って思い始めて
というのも、固まりの豚肩ロースなら、普通にスーパーで買えるし
ものすごいブランド豚でなくても
普通の国産豚肉で
十分とろりと柔らかく煮えて、まず失敗がないし。
牛肉より値段が安いから、たっぷりゴロゴロ入れられるのもいいですね。
ちなみに
カレー用として売られている、すでにコロコロに切ってあるやつ
あれはダメです。
何回もトライしましたが、あれは柔らかく煮えないです。
肩ロースの固まりを、ちょっと大きめに自分で切って使う
このひと手間はとっても大事。
塩をキツめにして小麦粉をまぶしたものを
こんがり焼いてから煮込みます。
小麦粉をまぶすことで煮崩れずに、更にしっとりと煮上がるし
最終的なとろみにもなります。
味のベースはトマトと玉ねぎですが
隠し味にお味噌を入れています。
10年くらい前に、ズボラ人間の料理術という本を書いたんですけど
その本のテーマが
家庭料理にズボラマジックをかけて、簡単に本格的な料理をつくろうということでして。
そのズボラマジックというのは
それまで家庭料理って、決まりごとっていうのが多くて
教科書にそって、きちんと手順を踏んでこそ美味しく出来るみたいな。
でも、それが結構めんどくさくって、大変で
一昔前の女性なら黙々とやれたかもしれないし
まあ、それが女性の慎ましさや教養でもあったと思うんだけれど
時代の流れの中で
そのひと手間はほんとうに必要ですかと、いう人間が出てきてもいいんじゃないかと思い
王様の耳はロバの耳!!
と叫ぶつもりで、その手間はいらなんじゃないの!!と叫んだのが、
すボラ人間の料理術シリーズだったのです。
けれど、ただ手間を省くだけでは味が落ちる場合もある。
味を落とさないためには、手間や時間を使わず頭を使う。
頭をつかうというのは
焼肉のタレとかめんつゆとかを使って簡単に出キましたというのは違って
いや、そういうのを使って、簡単に味が決まるというのも悪くはないと思うけど
私自身は、そういうので簡単にできても
全然ワクワクしないから、やりたくない。
手を抜いて、簡単に美味しくできた満足感は
やっぱりできた時のワクワク感だと思うから。
で、ズボラ人間の料理術でハヤシライスを作ろうとした時
市販のデミグラスソースとか、使いたくなくって
手間をかけずにあんなふうの味にならないかなと思って
いろいろ試してみた結果
味噌にたどり着いたんですよね。
味噌とトマトが合わせると
デミグラスソースっぽい味になる!!
これ、発見したとき、めちゃ嬉しかった!!
ポイントは
味噌は最初から入れて煮こむこと
味噌の香りは揮発性なので、コトコト煮こむことで味噌の香りが綺麗になくなり
味噌の複雑な旨みだけが残るのです。
味噌は普通の味噌でもできますが
もしあれば、八丁味噌みたいな赤味噌がいいですね。
その味噌プラストマト=デミグラスソースの方法は
もちろんシチューにも使えます。
煮込み始めに味噌を入れ
コトコト1時間ほど煮こんで
あとは塩と醤油で味を整えれば出来上がり。
煮こむ時間はかかるけど
その間時々混ぜるくらいで手間いらず
それでいて、かなり本格的な味に仕上る。
手間をかけずにこういう味になるから、ワクワク感はMAX!!
こういうワクワク感こそが、正しいズボラの真骨頂です。
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