家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
生まれて初めて
ねぎま鍋というものに挑戦いたしました。
ねぎまというのは
ご存知の通り、ネギとマグロ。
これを醤油ベースの割り下でさっと煮て食べるという
いかにもお江戸な感じのする鍋です。
池波正太郎氏のエッセイなどに出てくるので
名前だけはよく知っていたのですが
関西人にとっては
ほとんど馴染みがないんじゃないかなあ。
池波正太郎氏のエッセイによると
氏が子供の頃は
マグロといえば赤みが極上で
中トロが、ようやくすこしずつお寿司屋さんなどに出されるようになったくらいで
大トロなんかを出しているお店なんて全くなく
だから、大トロは魚屋で買っても
ものすごく安かったらしく
そういうことから、
子供の頃から大トロを買いに行っては
一家でねぎま鍋にして食べておられたそうな。
なんとも、贅沢な話。
そういう話を読むたびに
今まで何度となくねぎま鍋でもやってみようか
と思うことはあったのですが
今、私が作るとなると
大トロというわけには行かず、
刺身用で売られている赤みのサクを買ってくることになり
で、買うときは、よし今日はねぎまだっ!!
と思うんだけれど
いざ作る段になると、やっぱり刺身で鉄火丼にしようと思っちゃう。
マグロを加熱して食べる、っていうのが
なんとなくもったいないような気がしてしまうんですね。
ところが
私のやっているお台所奉行の会で
今回、お家でよく食べる鍋物についてアンケートを取ったら
ねぎまという答えが複数あって
ああ、ねぎま鍋って、普通に食べられている鍋なんだ、とあらためて思ったんです。
そうなると、一度くらいは作って食べて見たいという気になって
私のイメージでは
すき焼きみたいな濃いめの割り下で
マグロとネギをしゃぶしゃぶする感じなのかと思っていたら
どうも寄せ鍋みたいに、もっと煮汁が多い感じのものだということがわかり
しかも池波氏のエッセイを読み返してみると
江戸直伝のねぎまは濃い目の味付けだと決めつけてはいけない
むしろだしの効いた薄目の出し汁で
サッサッとにて、煮えばなを食べる
と書かれている。
なので、土鍋に
水と昆布と醤油と味醂を煮立て
そこに、鰹節も入れて出しをきかせ
そこで、刺身用の赤身のマグロ(厚めに短冊にきる)
とネギをサッと煮て食べることに。
ネギもいいものを使ったほうがいいと書いてあったので
泥つきで、青いところまで柔らかそうな根深葱をたっぷり入れることに。
そしてふと思いついて
舞茸もたっぷり入れて見ることにしました。
これは出し汁にうまみをプラスするため。
刺身用の赤身まぐろを加熱するのは
最初はやっぱりちょっとためらいが起こったけれど
逆に、刺身用なので、ちょっとレアっぽい加熱具合でも食べられると思えば
それもありなのかとおもいました。
お味の方はと言うと
意外や意外、さっぱりしていて
今年の冬はブリしゃぶなんか、よくやったんですが
ぶりよりもうんとさっぱりしていて、食べやすい。
赤みなので、ちょっと脂が足らないので
ふと思い立って、わさびマヨネーズを食べるときにちょこっとつけて食べてみると
これが、いい感じにとろりとした食感をプラスし
赤みが口の中で、大トロまでは行かないまでも
中トロくらいの脂ののりになります。
一方、一緒に煮たネギと舞茸が
またすごくいいコンビネーションで
マグロを食べつつ、ネギを摘むと
シャキシャキしたネギが美味しくて、いくらでも食べられるんですね、これが。
やってみないとわからない美味しさってありますね。
赤身まぐろのねぎまって
もしかしたら、すごく邪道なのかもしれませんが
我が家では大好評!!
また、近いうちにやりたい鍋になりました。
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