家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
ちょッと前に「リア王」を見たのは
実は、シモちゃんの本に、出てきたからでした
「重力と恩寵」の中に
「リア王」重力の悲劇
という言葉があるんですよ。
解説によると
シモちゃんが、晩年のロンドン滞在中に、「リア王」(芝居?)を見て
深い省察をしているらしい。
重力の悲劇って何なのか、まったくわからなかったけれど
とりあえず、「リア王」の映画を見れば
なんか少しでもわかるかもって思ったんです。
(あっ、「リア王」の本も買ったんだけれど
リア王を演じているのが、アンソニー・ホプキンスだったもので、映画見ました)
リア王のストリーリーはこう。
リア王が、自分はもう引退するんで
3人の娘に土地と財産を分け与える事に決め
それぞれの娘に、どれくらい自分を愛しているかを言わせて
その言葉によって、
与える財産を決めるんです。
姉二人は、土地とお金欲しさに
自分がどれほど父を愛しているかという事を
言葉を尽くして言って(本心では思っていない)
土地とお金を得るんだけれど
一番愛されていたはずの末娘は
どれほど自分が父親を愛してるかなんて言えないといい
それを聞いたリア王が激怒して、末娘を勘当してしまうんです。
財産と土地を手放し、隠居の身となった王は
家来100人を連れて
二人の娘の家を交互に行き来して、余生を暮らすつもりだったんだけれど
もらうものをもらった娘2人は
一文無しの父親には、興味はなく
態度が豹変。
父親を邪魔者扱いし始めるんです。
ストーリーとしては、いろんな人間模様が入り込んでくるんですが
まあ、ざっくりとしたスーリーだけでも
なんか、いや~~~な感じ。
実は、リア王って
娘二人の口先だけの優しい言葉に騙されて
本当に自分を愛してくれていた末娘の気持ちに気づけなかった
馬鹿な父親(リア王)の話だと思ってたんです。
でも、今回リア王を見て
ああ、そういう話じゃないってことに、はじめて気づきました。
どういうことかというと
甘い言葉のウソを見抜けなかった悲劇ではなく
土地や、財産や、地位と言った
自分の周りに付随しているんものを自分の価値だと勘違いして
自分が偉いと勘違いした人間の悲劇だったんですね。
自分の付随していた、財力や、地位や、権力に
人が服従しているだけなのに
皆が自分に服従していると思っていた
自分自身の周りに付随しているものを
あたかも自分の一部だと勘違いしていたわけです。
そういう意味では
自分をちやほやする言葉も
自分に向けられたものではなく、
自分に付随するものに向けられていたのにね。
そういう付随したものを自分の価値だと勘違いしているから
自分自身の内面的な人格を高めようとはしない
この物語の悲劇は、まさにそこですね、
つまり、それがシモちゃんの言うところの重力の悲劇
おお~~~~~、シモちゃ~~~~~~~~~~ん!!!!
そういう風に思うと
二人の娘も
人間として最低だし
その他の登場人物も、ことごとく人格として最低の人ばっかりが出てくる。
全く救いようがない。
でも、それは自分の事として考えてみる必要があるね。
肩書や、持っている物、着ている服、乗っている車
住んでいる家、収入や学歴
そういうものを取り除いたところに
自分自身がある。
それを勘違いしないで
きちんと見つめなおして
内面を高める努力をしないと
リア王の悲劇は、現実のものとして自分に起こりうる。
自分の内面にあるモノこそが自分の価値を決めるし
それは、誰にも奪えない本当の価値なんですよ
そこで価値を分かり合えるようになりたいね。
そんな風に考えられるようになった私
ちょっとは成長したな。
これは、シモちゃんのおかげでもあるし
「読むと書く」の教室で、いろんなことを教えてもらって
読み方、感じ方、見え方が変わったせいだと思います。
シモちゃん、ありがとう
先生、ありがとう
私、ちょっとは成長してる。
重力、少し上向き。
コメント
私このお話好きでした。私は今ではおしゃべりなお婆ですが子供の頃は自分の考えている事を人に伝える事が苦手と言うか 嫌でした。どれだけ相手に伝わるか 受け取ってもらえるか わからないのに自分の心の中を見せたくないと。だから末娘の気持ちがよくわかって父なのに娘の事がわからないのかと悔しかったです。大人になった?今は その想いは自分の思い上がり と言うかわがまま と言うか そんなに人間は自分以外のことはわからないものなのねと気づきました。今は心さらけ出して生きてます(笑) 肩書き 権力持つと抜け出すのは難しいですね。心地よいですものね。
それ分かります。
私も、今でこそ、こんななりましたが
昔は超人見知りで、もっとお話しできるようになりましょう、って先生に言われてきたような子でした。
だから、何も言えない末娘の気持ち、めちゃ分かって、リア王にめちゃ腹が立ったものでした。
でも、なんか、こういう本も、読み方が変わるんですね。
自分でもびっくり。