家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
「書画に見る日本の霊性 美と祈りのかたち―みほとけの使い―」
を見るために
長良川画廊に行ってきました。
こちらは以前、椿貞雄展を見させていただいた画廊です。
今回も、若松先生のギャラリートークがあるという事で
参加させていただきました。
書です。
もともと画廊というところに行き慣れていないのに加え
画廊で書を見るというのも、初めての経験です。
でも書を見るのは好きです。
書って、書いた人の人となりが如実に出ますよね。
いや、本当は、
書画に見る日本の霊性がテーマなので
その中に仏の姿を感じるべきなのでしょうが
(先生がそうおっしゃってました)
いやあ、それはなかなか難しい。
やっぱり、それを書いた方の性格や
書いている時の息づかいとか
凡人の私に感じられるのは、それが精いっぱい。
今回も、自分のお気に入りの書を見つけましょう
という事だったので
自分なりに2つ選んでみました。
まずは
西田幾多郎 来日春光佳
西田幾多郎先生と言えば
京都の哲学の道!!
毎朝、西田先生が哲学の思想に耽りながら散歩されたことから
命名された散歩道で
私も大好きな場所です(特に桜の季節は良いです)。
なので、京都人にとっては、西田先生の本を読んだことはなくても
西田先生はとっても身近な存在なのです。
この書を見ていると
哲学の道を散歩されている先生の姿を見えるようです。
暑いとか、寒いとか、おなか減ったとか
そんなどうでもいいようなことに、けっして乱されることはなく
常に同じペースで淡々と歩いておられる姿。
足が痛いとか、疲れたとか、帰ったら何食べようとか
そういう感情の乱れとかも一切ない。
さらに言えば
偉そうな感じが、まったくなく
はたから見ると、普通に考えごとをしながら歩くことだけに専念されている感じ
たぶん頭の中は凡人には理解できないいろんなことがつまっているのに
そんな風に見えないんだろうな。
この書を見ていると
一緒に哲学の道を、並んで歩いているような気分になってきます。
なんか、穏やかな感じ。
良いな。
芯が強くて優しくて、本当はちょっと寂しくて、人恋しさも感じられる
そういう方だったんだろうなって思いました。
もう一つ好きな作品
河口慧海 真観自在成萬福
ギャラリーの中の書を一通りザーッと拝見して
第一印象で、一番好きだなと思ったのがこれでした。
文字の持っている大らかな感じが、なんとも言えず心地いい。
家に帰って図録の解説を読んでみると
河口慧海という方は、日本で初めてチベットを探索された方なんだそう。
それを読んだ時に、ああ~~っ思いました。
実は、ちょっと前に、沢木耕太郎さんの「天路の旅人」という本を読んだんです
その主人公の西川十三は第二次世界大戦末期
日本の諜報員として
チベット仏教の蒙古人巡礼僧に成りすまして、
中国からチベット、インドまで旅をするんです。
巡礼僧というのは、
その日に食べるものと、その日に寝る所を恵んでもらいながら旅をつづけるんです。
その日の分だけでいい。
明日の分はいらない。
今日食べるものがあり、今日寝るところがあれば
それ以上の幸せはないというような生活なんです。
別に我慢しているわけでもなくて
逆に、二日分の食べ物をもらえるとしても、一日分しかもらわないの
執着しないことで、逆に内面世界はどんどん豊かになる、みたいな感じ。
この書を見ていると
その豊かさに通じるものを感じるんですよね。
執着から解放された
なんとも言えずのびのびとした豊かさというか。
自由で、おおらかで、優しくて、豊かで
この書を見ていると、そんな気持ちになります。
この書を見ていると、心の中がちょっと温かくなるような感じ
これって、仏なんですかね。
分からんけど。
という事で
今回もとってもいい経験をさせていただきました。
長良川画廊さんと、若松先生に感謝です。
絵もいいけど
書もいいですね~。
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