家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
SOMPO美術館で開催中の
カナレットとヴェネツィアの輝き展に行ってきました。
年末の忙しい時期に
なんでわざわざ見に行ったかというと
ここ数か月、毎日コツコツと読んでいる須賀敦子全集に関係があるのです。
今、全8巻中の4巻まで読み進んでいるのですが
3巻までのエッセイは、主に
須賀さんのイタリアでの生活について書かれています。
文章は素晴らしいのですが
書かれている情景とか、その場所の空気感とか
行った事のない異国の地の話なので
どうしても上手く想像できないのです。
時々、ネットで調べて、その風景とか、建物とかを確認しながら読んでいるのですが
ネット上の写真では、どうしても伝わってこないもどかしさがあって。
そんな時に、この展覧会を知って
是非とも見に行きたいと思ったのでした。
ヴェネツィアの空気が感じられるんじゃないかと思ったのです。
でもまあ、年末の忙しい時期なので
午後からの時間を有効に使うべく、朝から行ってきました!!!
この展覧会は、
カナレットが描いた
ヴェドゥータと呼ばれる景観画を主とするもの
ヴェドゥータというのは
お金持ちの貴族たちが旅の記念に買っていくような景観図で
まるで写真のようなち密さで書かれています。
まるで写真みたいなんだけれど
人の姿がたくさん書き込まれることで
写真とは違う、リアリテイ―があり
また、有名な建物が、ぎゅっと寄せ集めて画面の中に収められていたり
いかにも旅の思い出の一枚という感じになっています。
まだ写真が普及していない時代に
精密に書かれた写真のような絵は、旅の思い出としては
最高に喜ばれたに違いありません。
だから、普通の絵画とは違っていて
じっくり味わうとか、感動するとか
そういうのとはちょっと違うんですよね。
けれど、本当に精密に書かれているので
じっくり見ていると、
まるでそこを旅行しているかのようなワクワク感がありました。
須賀敦子さんが見たヴェネツィアの空気感を感じたいという私のようなものには
とてもいい展示会でした。
旅を楽しんだ満足感、充分得られました。
この展示会は
カナレット以外の画家が描いたヴェネツィアの絵もあり
それは景観画とは違う風景画で
やっぱり、そういう絵を見ると、安心するというか
心が動きます。
景観画というのは
その場所に思い出があるかどうか、そういうことも大きく影響するんだろうな。
ヴェネツィア カナル グランデ
カナレットの景観画
ヴェネツィア カナル グランデ
同じ場所を、ボニントンが描いたらこうなる
比べてみると、なんか面白い
<サンマルコ広場でのコメディア・デラルテの上演>
カナレットのデッサンは、本当に細かくて
ずーっと見ていられます。
建物はもちろん、一人一人が、本当に細かく描かれていて
めちゃすごい!!
<カナル・グランデ>ウジェーヌ・ブーダン
この絵、なんか好きだな。
空と水の感じが、めちゃいい。
けっこう見ごたえがあって
一つ一つ、じっくり見ると結構な見ごたえで
ヴェネツィアを堪能できて
とてもいい時間を過ごせました。
SOMPO美術館
12月28日まで。
おすすめです。
コメント
須賀敦子さんと聴くと身震いします。いつか須賀さんの世界に頭まで浸かりたいと思っています。ところで、奥薗式で今のところ、一番の発見は「お醤油と味醂だけで美味しい」ということです。人によっては何を今更、というくらい当たり前のことかもしれません。私は味醂を使う時はちょっと気合を入れて昆布と鰹でお出汁をとって、お醤油、お酒、味醂で味を整える、みたいな感じだったのです。今は味醂を洋風のお料理にも使っています。味醂のお陰で頑張らなくても色んな食材を美味しくいただけるのが嬉しいです。
須賀さん、お好きですか?なんかうれしいです。
みりんは、使えますよね。
先日、料理のことで話をしていたら、やっぱり、お酒とみりんを両方使っている方がいて
みりん使ったらお酒はいらないんじゃないかと思ったところでした。