家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
この前、「セロ弾きのゴーシュ」の読書日記で
家庭料理研究家としての、これまでのことを書いたのですが
書き終わった後、全然かけてない事に気づいて
もう少し、書かせてください。
私は、小学生の時から料理を作っていたのですが
それは、料理というよりも理科の実験みたいなもので
何かと何かを混ぜたら、新しい味になったりとか
加熱したら、形や柔らかが変わったりとか
切り方を変えたら、食べた感じが変わったりとか
そういう事の一つ一つ、ただただ面白くて
特に、小学校3年生くらいの時に
お菓子作りにハマってからは
料理がますます理科の実験みたいになって
夢中になって食材と遊んでいました。
高校生くらいの時にパン作りにハマってからは
ますます、料理=科学って感じになって
日々の気温や水の温度、発酵時間など
日々記録をつけながらパン作りをしたりしていました
あれは、料理じゃなくて、理科の実験だったな。
ところが、正直に白状すると
いくら綿密なデータをとっても、パン作りは一向に上達せず
子供が生まれてからも、パンは作っていたんだけれど
子供も、私の作るパンをあまり喜ばなかったんですよね。
それが、なんでか全くわからなかった。
ところがある時
別の用事があって、自分の思っているように発酵時間がとれなかったことがあって
ああ~~、やってしまった~~って思ったら
めちゃめちゃおいしいパンができたんですよ。
それがなんでかわからなかったんだけれど
結局、自分の思い通りにやる事ばっかりに気をとられて
パン生地との対話ができていなかった
食べてくれる人のことも思っていなかった
ただ、自分が美味しいパンを作るって事ばっかり考えてたんですよ。
私が、私がって。
その事に気づいたこと
たぶん、あれが転機だった思う。
結局、自分が頭で考えてできる事なんて
たかが知れているなってことに気づいたんです。
そして、料理は理科の実験じゃないってことも。
そこから、
家庭料理研究家としてできる事は何か
やらねばならない事は何かってことを考え始めました。
一時期は
とにかく丁寧に
失敗しないように、詳しく伝える、みたいなことを試みたこともありました。
けれど、語れば語るほど
書けば書くほど、どんどんわかりにくくなる。
そのうち、私の伝えたい事って言うのは何なんだろう?
っていうことを、ずーっと考え続けるようになって
すくなくとも
私は料理人じゃないから
”私が”できるって事を伝えるのではなく
”誰でもが”やってみたくなるようなことを伝えなくっちゃ
って思うようになったんです。
家庭料理って
やっぱり、作ってもらわないとね。
それって、やっぱり作り方とか調味料の配合じゃないか
って言われると、それはそうで
でもそれは伝えたいことの一つであって
最も伝えたい事じゃないって思ったんです。
それなら、
どうすれば、美味しくできるかってことなのか?
いや、でも、美味しさって、人それぞれだし
いや、そもそも美味しさって何なんだろう
美味しさってどこで感じているんだろう?
それを考えていくうちに
楽しさだなって思ったんです。
楽しく料理して
楽しくたべたら
なんだって美味しい。
昔、へたくそなパンしか作れなかったとき
考え方を変えて、子供と一緒に楽しみながら作るようになったら
出来上がったパンが、めちゃめちゃおいしくなって
子供たちも大喜びしたのよね。
雨が降ったらパンを作るって決めて
雨が降ったらパンを作れるから
子供たちも、雨降りを楽しみにするようになった。
つまり、そういう事なんだと思ったの。
だから、
今、私は、料理の楽しさを伝えたいと思うようになりました。
レシピも、細かいことを書くのをやめて
調味料は、作る人が好みで加減しやすいようにわかりやすい数字に
作り方は、想像力を働かせて作ってもらえるような書き方に。
細かいことにこだわらず
みんながニコニコしながら料理を作って
ニコニコしながらご飯が食べられるように。
そんな気持ちで
家庭料理研究家をやっています。
なんか、まだまだ日々、考えることがいっぱいで
試行錯誤の連続で
まだまだ分からない事だらけで
でも、分からないからこそ、続けていけるのかもです。
そのうち、この肩書も失くしていけたら、良いなと思っています。
純粋に、料理を楽しめる人になりたい
そんなことも思っています。
哲学するボク・・・。
コメント
どんなに美味しいものでも、楽しく作って楽しく食べなければ美味しくない。
確かにそうだとボクも感じます。
今はまだ母がいて、ああでもないこうでもないと言いながら喜んで食べてくれるので、作って楽しいし、楽しく食べられている。
しかし1人になった時に、その楽しさを維持できるか?については不安になります。
今は文句言ったり喜んで食べてくれる母の存在を有難いと感じて、楽しく料理して楽しく食べる事を続けていけたらいいなぁと感じています。
それでは失礼致します🙇♂️足立区一のお調子者f@
一緒に食べてくれる人がいるというのは、幸せです。
食べるという事は、生きるという事とイコールで
食べないと生きられないわけだから
そこに幸せがあるというのはすごくステキな事。
これから先のことは、誰にも分りません。
ただ、今すごーく幸せを持っているという事だけは確かです。大事にしてください。
パンについては早々と「万年初心者でかまわない」と、開き直りました。私よりずっと先輩の方が「ママのレシピでやっているけれど毎回出来がちがう」と言っています。全く同感です。失敗ではないのです。いい、悪いでもないんです。イーストが生き物で、その日の気温、湿度に左右されるからでしょうか。最近は水分多めの生地で冷蔵庫での長時間発酵に興味があります。まだ、これが私のやり方、というのは見つかっていません。ノンビリやります。
パンはいろんな作り方がありますね。
私も一時期、低温発酵パンにハマったことがありました。
夜にこねて冷蔵庫に入れておけば、朝には発酵しているので
(低音なので発行がゆっくりなのです)
そこからの成型と二次発酵で、これはなかなかいいです、おすすめです。
後、天然酵母も、発酵のペースがゆっくりで、失敗ないかも。
やり方はいろいろあるから、是非是非、楽しみながら挑戦してみて下さいませ。