家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
講演会などでなす料理の話をすると
たいてい、油を使わない、あるいは油控えめのなす料理を教えてください
という質問をされます。
なすって油との相性がいいし
油を使ってこっくり仕上げた料理は確かにおいしい。
けど、油の取りすぎは体に良くないんじゃないかとか、カロリー高そうとか
思っちゃいますね。
なすは、100g当たり22キロカロリー
約9割が水分です。
「調理のためのベーシックデータ」(女子栄養大学出版)
によると、
なすの給油率は14%(素揚げにしたときにどれだけ油を吸うかという割合)で
ナス1本を素揚げしただけで大匙1近い油を吸うようです。
(油大さじ1は111kcal)
しかも、これってなすを切らずに丸ごと揚げた時の給油率なので
切って揚げればもっと吸っているはず。
(切り方により、断面積が多くなればなるほど油を吸うと思う)
そうなると、ナスを食べてるんだか、油を食べてるんだか。
もちろん、油を吸わせたくないなら、油を使わない料理法にすればいいわけで
煮る、蒸す、ゆでる
焼きナスみたいに、油を使わず網で焼くのもあり。
そういう調理法でも、もちろんおいしいんだけれど
やっぱり適度に油を使い、なおかつヘルシーでコクのあるおいしい料理を食べたい
と思っている人が、私も含めて多いんじゃないかな。
そこで私がやっている方法はというと
切ったなすを塩水につけること。
この方法に行きつくまでには、いろいろ紆余曲折ありまして。
細かいことは、ともかくとして
決定的だったのは、イタリアでマンマの料理を習った時のこと。
なすの下処理として、ナスに塩を振ってしばらく置き
出てきた水分を丁寧にふきとってから、焼いたり揚げたりしていました。
(マンマによっては、塩じゃなくて砂糖を振りかけていた人もいました。
ナスを脱水させることが目的なので、砂糖でもできます。味は意外に甘くならないのです)
そうすると、たっぷりのオリーブオイルを使ってもさっぱり仕上がる。
たっぷりの油で素揚げにした中華料理の脂っこさとは、まったく違うのです。
もちろん油の種類が違うということもあるのでしょうが
油の吸い方が違う気がしました。
日本では、ナスは水に放してあくを抜く方法が一般的ですが
私は、日本に帰ってきてから、
すぐに、このイタリア式を取り入れることにしたのでした。
そこでわかったこと。
ナスに塩をして脱水させることで
スポンジ状のすかすかした細胞がしんなりするせいなのか
確かに油を吸いにくくなる。
水分が抜けた分、そこに油が入るんじゃないかと思うけれど
実際はそうじゃないんですね。
これはいい!
と思ったのだけれど、ここで一つ問題が。
塩をして10分くらい置いておくと、ナスから水分と一緒にあくが出てきて
黒っぽくなってくる。
黒い点々が浮き出てきて、どうも見た目が悪い。
あくが出ようが、点々が出ようが、別に味がえぐくなるわけではないので、
気にしなければいいんだけれど、やっぱりちょっと気になる。
そこで思い出したのが、水に浸けてあくを抜くという日本の方法。
もともと日本料理には”たて塩”という調理法があります。
海水程度の塩水に魚や野菜をつけて、アクや臭みを抜く方法です。
これをなすに応用すれば、悪を抜きつつ適度に脱水できるんじゃないかと考えたのです。
まさに、イタリアと日本の融合ですね。
やってみると、これが実にいい。
何がいいかというと、
ナスのあくが抜けるのできれいに仕上がる。
ナスに適度の塩味がつく。(なすって、中に味が入りにくいのです)
しかも、生のなすをそのまま炒めるよりも、確実に油を吸いにくくなる。
たて塩の塩分濃度は3%
水1カップに対して塩小さじ1を入れると、ほぼこの濃度になります。
ナスをつける時間は5~10分程度。
水から引き揚げて、そのまま炒めるのもいいし
軽くギュッと水けを絞ってから炒めるもよし
軽く絞るとなすの食感が変化し
ちょっと漬物っぽくなるというか、キュッキュッとした食感になります。
台風の影響で、高値が続いていたなすですが
ようやく、値段も戻りつつありますね。
秋なすの季節です。
できれば、ヘルシーにおいしく、たっぷり食べたい野菜です。
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今日の「日めくりレシピ」は週末スペシャル!!
今日と明日はなすです。
今日のレシピは「なすの丸煮」
ナスを丸ごと煮ただけですが、おいしい煮汁をたっぷり吸った丸ごとのなすにかぶりつく幸福感!!熱くても冷やしても美味です。
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コメント
簡単 ヘルシー 美味しいレシピをお待ちしています
奥園さんならではの 目から鱗のレシピ
お待ちしています
うれしいコメントありがとうございます。
これからもよろしくです。