家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
京都人というのは、何かといえば、じゃこか油揚げを料理に使いますね
私も、冷蔵庫の中にはいつもこの2つは必ず入っていて、
あともう一品というとき、これさえあれば、何なりと作れたりします。
たとえば、菜っ葉類と油揚げとさっと炊いた煮びたしは、定番中の定番だし
カレーうどんにも、そうめんにも、炊き込みご飯にも
なんにでも油揚げを入れます。
油揚げというと、油抜きはしたほうがいいのか、という質問をよく受けます。
私は油抜きはしませんが、
油揚げの油は酸化していないのでしょうかとか、
過酸化脂質は大丈夫でしょうか、とか
そういう話になると、もう個人の価値観の問題になるので
気になる方は、どうぞ油抜きしてください、としか言いようがなくなります。
ただ、私が油抜きをしないのには理由があって
京味の西健一郎さんがエッセイの中で
油揚げを使うのは、油のコクをプラスするために使うのだから
油抜きしてしまったら、油揚げを使う意味がなくなる
というようなことを書いておられて
これにすごく納得したからなんです。
確かに、昔から京都で煮物に油揚げをつかったのは
油揚げの油のおかげで、肉なしでもコクのある味に仕上がるからだと思うんですよね。
だから、基本、私は油抜きはしないんです
ただ、例外があって
それは油揚げを甘辛く煮るとき。
お稲荷さんとか、きつねうどん用の油揚げですね。
あれを作るときは、丁寧に油抜きしたほうが、
ふっくらやわらかく仕上がり、油揚げが何倍も上等になります。
味も中までよくしみこみます。
油揚げとひたひたの水をフライパンに入れて火にかけ、
沸騰したら、火を弱めて2~3分煮て、湯を捨てる
これを3回繰り返します。
ズボラな私にしては、丁寧な仕事です。
でも、なんですかね、せっかくお稲荷さんを作るのなら
やっぱりおいしく作りたいと思うわけで
ここのところは、絶対譲れない部分なんです。
京都人のこだわりなんでしょうか。
その一方で、
油揚げだけをカリカリに焼いたのもおいしいですね。
カリカリに焼く場合は、逆に絶対油抜きをしてはダメ。
油がないと、カリッと焼けません。
カリッと焼いた油揚げに、しょうが醤油をかけたのもおいしいですが
ピザ用チーズをのせて、とろりと溶かすのもいいですね。
私は、玉ねぎと鰹節とピザ用チーズをのせて
オーブントースターで焼くのが好き。
この場合は、ケチャップやピザソースより、醤油が合うように思います。
油揚げは、100gで386キロカロリーと、ちょっとカロリー高めですが
カルシウムや鉄分をはじめ、微量ミネラル類も豊富なので
汗をかいて、ミネラルが不足しやすい時期には
上手に料理に使いたい食材です。
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Walker47で連載中の「日めくりレシピ」
今日の料理は、「油揚げと中根儀の甘辛炒め」
油揚げを焼いて甘辛味をからめるだけなので
甘煮を作るより、うんと簡単にできます。
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