家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
先日の天声人語で
面白い本だというふうに書かれていたので
思わず読んでしまいました。
「ファッションフード、あります」
(畑中三応子著 紀伊國屋書店)
純粋に味覚を楽しむ美食行為ではなく
流行の洋服や音楽、アート、漫画というようなポップカルチャーと同じような次元で
消費される食べ物をファッションフードと定義し
1970年代から10年毎に時代を分けて
その時代時代を代表するファッションフードについて書かれた本です。
ページをめくるごとに、
ああ、そういえば、そういうのがあった、あったとか
そういえばブームになっていたなあとか
なつかしいなあ~とかいうのが出てきて
けっこう、楽しめます。
でも、私などは10代20代の大半を京都で過ごしていて
30代半ばでようやく東京の出てきたので
こういうファッションフードという存在というか、思考というか
そういうものが、東京を中心にした考え方なのかなという感じは
ちょっとしないでもないです。
東京から離れた所に住んでいると
そういう情報をテレビや雑誌で目にしたとしても
実際、流行っているんだなあと実感するまでには
確実にタイムラグが有りましたね。
それは食べ物だけでの話じゃなく、実際のファッションとか音楽とか、そういうのとかも
確実に差があったように思います、70~90年代くらいまでは。
そう思うと
今は、ネットの普及によってたくさんの情報がすごいスピードで伝わるし
流通も発達したから、話題になっているものを手に入れようと思えば
わざわざ、そこにいかなくても、かなり手に入りやすくもなりました。
昔(?)と今と、確実に違うことというと
昔は雑誌やテレビで紹介されることで
わ~っと人気が出て、そこからファッションフードというものの形ができて
周りに浸透してく感じだったけれど
最近は
わ~っと人気が出るほうが早くて
それを後追いのような形で、雑誌やテレビがあって
一気に広がる代わりに
消えるのも早いというか
サイクルがどんどん早くなっている感じなのかな。
また、ラーメンとかパンとかコンビニスイーツとか、小さいジャンルの中でも
流行りすたりみたいなのがあったりとか
昔みたいにネコも杓子もみんなそれに飛びつくような
すごい流行りと言うよりは
短期間の小さなブームがあちこちでたくさんおっているような、そんな感じがします。
まあ、何れにしても
こういうのって、今おっている流行りモノの話をするより
こういうの、はやったよね~と言って、盛り上がるほうが断然楽しいですね。
わたし的にこの本の中で、すごく盛り上がったのは
やっぱり1970~80年代の頃のファッションフードかな。
あの時代って
高度経済成長とか、一億総中流社会とか、その後バブルとかで
新しいものが入ってくる強烈さが、今よりももっともっと強くて
もっとすごいワクワク感があって
なんか必死にそれを吸収してやろう、って空気も今よりもっとあったような気もします。
レアチーズケーキを初めて食べた時の驚きとか
(チーズがお菓子になるなんて思ったこともなかったし、
レアと言うネーミングも、めちゃおしゃれな気がしたし
なんといっても、ねっとりした濃厚な甘さが、それまで食べたことのない美味しさでした)
初めてシェイクを飲んだときは、世の中に
甘くてドロリとして、冷たい飲み物があったのか
っていう驚きと感動でいっぱいになったし
フレンチクルーラーを初めて食べた時は、
こんなおしゃれで美味しいものが世の中にあったのかと思ったし
レデイーボーデンの大きな容器にスプーンを入れて食べるときは
世の中にこれ以上の贅沢はないんじゃないかとさえ思いました。
今思い出しても
あの時の美味しさと幸福感が蘇ってきます。
あと、笑ったのは紅茶キノコ!!
なんで、あれ、どこの家にもあったんですかね。
うちの家にもあったし、友達の家にもたいていあって
でも、私も友達も、それを飲んだ記憶はなくて
あれは、誰がなんの目的で育てていて、本当にあれ、飲んでたのかどうか
結局最後は、流しに捨てたのか、飲みきったのか
いつ、どうやってなくなっていったのかも永久に謎、っていうのも、話題性抜群です。
こうやって考えると
ファッションフードって、音楽やファッションと同じように
そのことを考えるだけで
あの時のワクワクやドキドキに戻れる
タイムマシンのようなものですね。
なんだか、わくわく楽しい。
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