でいりいおくじょのBLOG

2017.05.17

読書日記「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」

この前、たまたま入った本屋さんで見つけ

おもしろそーって思って買った本が、めちゃめちゃ面白かったんです。

こういうの、すごくうれしい。

 

「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」

(山中伸弥 羽生善治 是枝裕和 山極壽一 永田和宏著 文春新書)

 

これは、京都産業大学の創立50年記念に行われた講演と

そのあとで行われた対談を丸ごと記録した本です。

 

山中先生、羽生さん、是枝監督、山極京大総長

講演をされた方がすごすぎ!!

すごい方のお話というのは、分かりやすい言葉で語られているのに内容が深い。

本当にすごい方っていうのは、自分がいかにすごいかっていうふりをされないから

とにかく、簡潔な言葉なのに、心にぐっと刺さります。

 

さらに、そのあとの対談が素晴らしい。

講演の内容を受けて、ああここもう少し聞きたかったなあというところを

確実に質問してくださっている。

頭のいいかたどうしての対談っていうのは、こういうことなのですね。

 

とにかく、最初から最後まで、無駄な言葉が一つもなく

感銘を受けまくる一冊です。

 

どの先生の話も、本当に素晴らしかったのですが

私が特に、感銘を受けたのは、京都大学総長山極先生のお話。

さすがに霊長類研究の第一人者だけあって

サルやゴリラの話は、本当に面白かったのですが

                                                                                                    

「負けない理論と構え」という考え方と

ネット社会に対しての器具と

人間にとって、幸福な環境とは何かという問いかけが

特に印象に残りました。

 

インターネットの出現によって

人間関係の作り方や、コミュニケーションの方法が大きく変わりました

 

ネットの中では、人間通し他の関係を作りやすく、抜けやすい

その中での人間関係は、上下がなくフラットで誰もが対等に付き合えるけれど

でも本当に、信頼できるのか。

 

そこで交わされる言葉や、いとも簡単に出来上がった人間関係と

実際に、人と人とのかかわりの中で、ある意味煩わしい手続きを踏んで作る人間関係と

今の時代は、その二重構造の中にあって

それを、上手に使い分けて生きる必要がある

 

実は、この本を読む前に

「決壊」(上)(下)(平野啓一郎著 新潮文庫)

という本を読んだのですが

 

これが、まさに、ネットでつながった危うい関係による

現代社会の闇の部分を描いた作品で

 

ネットやメデイアからあふれる、芯のない言葉にさらされることによって

知らない間に、考え方や感情までコントロールされているのでは、という不安を感じたところでした。

 

ネットによって、確かにいろんなことが便利になり

ネットなしでは、もはや生活が成り立たないところまで来ていますが

ネットによって、かなりの危険にさらされている現実も、きちんと認識する必要があります。

 

本来、人間の生活を便利にするためのものが

人間を不幸にする危険もはらんでいる

 

それをきちんと認識して、幸福な使い方(付き合い方)をするべきだと

山極先生がおっしゃっていることに、深く感銘しました。

 

負けない理論

勝者も、敗者も作らず、共存していく社会

それは、ある意味、進化とか、進歩と言うものをあきらめることになるのかもしれませんが

それが、成熟ということなのかなと思ったりしました。

 

読書日記

コメント

  1. Yu-Ki より:

    奥薗先生、おはようございます。
    書かれている先生方の名前を見ただけで、興味深い本ですね。
    豪華!!。

    そっか、本は、自分のために講議してくれているっていう捉え方もあるのですね。
    そう考えると、こういう本も読み方が変わりますね。
    読み終わりが寂しくなるなんて、先生は勉強会だなぁ。

    ちくわともやしソース炒め、お財布にもやさしく、あっという間に出来上がるし、いろんな意味でお助けメニューですね。

    先生、今日も1日健やかにq(^-^q)。

    1. 奥薗壽子 より:

      この本は、本当にいい本だったので、もしよかったら読んでみてください。

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