家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
妙心寺の塔頭、東林院に精進料理を食べに行ってきました。
東林院は沙羅双樹のお寺として有名なところ。
ちょうど今の季節、沙羅双樹が満開になるので、それを見ながら精進料理を食べる会というのがあって
それに行ってきたのです。
沙羅双樹というと平家物語でおなじみのあれです。
祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色、聖者必衰の理を表す
奢れるものも久しからず、ただ春の夜の夢のごとし
沙羅双樹は、沙羅という植物で
1本だと沙羅、二本寄り添っていると、初めて沙羅双樹というらしいです。
日本名は夏椿。
白い椿の花がポトン、ポトンと落ちていく様は
たしかに世の無常を感じさせるものがあります。
ただし、今年は全国的に、季節の移り変わりが前倒しで
桜が早かったのを皮切りに、すべての花が半月くらい早いペースで咲いていて
本来なら6月の終わりころに満開になるところが
もう6月の初め位からたくさん咲いていたので、この精進料理の会は大丈夫かなあと思っていたのですが
私が伺った日は、最後の一本がかろうじて花をつけている状況
なんとか花は見ることができましたが、9割咲き終わっていました。
でもね、それも世の無常。
下に落ちて、少し茶色くなった花も無常です。
時の移り変わり、そしてまた来年咲くのを待つ楽しみ
満開に咲いている時だけが、花を見る楽しみではないですね。
華は奥が深い。
さて、精進料理の方はというと、
まずは、お菓子と抹茶を頂き、沙羅双樹の庭を拝見させていただきます。
お饅頭が、沙羅の花の形でかわいい。
それから、いよいよ精進料理。
右上の沙羅の花は、ジャガイモでできていて
さっと固めにゆでた後、甘酢につけてあるのか、ちょっと酸っぱい味がしました。
中心のオレンジは人参です、
なす田楽は、甘い白味噌で京都らしい一品です。
なすの横に、なすの皮をゴマ酢で和えたものが添えてありました。
白和えは、シャキシャキした青菜で、ちょっとピリッと香りがあり
辛子菜とか、わさびなとか、そういう菜っ葉のような気がしました。
その葉っぱの香りと食感を生かした感じで、あっさり目の白和えでした。
精進料理も、同じように見えて、やはり、そのお寺によって、作り方も味のつけ方も全然違っていて
ここ東林院の精進料理は、どちらかというと、家庭的な味わいでしたね。
禅寺の凛としたというか、ストイックな感じはあまりなく
どちらかというと、知り合いのおうちでもてなしてもらったような
優しい感じの精進料理でした。
おいしかったです、ごちそうさまでした。
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