家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
20数年前、東京に出てきたとき
自分の故郷を捨てていくようなやつはろくでもないと
父がひどく怒りました。
でもまあ、あの当時、料理研究家の仕事を京都でやるのは無理だったので
仕方がなかったのですが
いつか時間ができたら、京都に恩返しをしたいといつも思ってきました。
それで、まずは京都についてきちんと勉強し直そうと思って
勉強の目標として京都検定2級、3級を受けたのが去年。
今年は1級を受けるべく勉強をしています。
京都の歴史は、一応、桓武天皇の平安京遷都から始まることになっているのですが
勉強を進めていくうちに、そこからの勉強ではどう頑張っても理解できない壁にぶつかり
もう少し歴史をさかのぼって勉強する必要に迫られました
何かいい本はないものかと探している時
出会ったのがこの本です。
「天智と天武」―新説・日本書紀―①~⑪
いかにも歴史のお勉強っぽい漫画ですが
これなら、大化の改新(乙巳の変)から壬申の乱までの歴史を
とりあえず手っ取り早く勉強し直せそうだと思って、読み始めました。
ところが、読み始めてみると、
これがもう、めちゃめちゃ面白い。
学校の図書館においてあるような、お勉強の歴史本とは全然違って
読み物として、とにかく面白い。
何が面白いかというと
3つの視点で語られているところ
歴史の中で実際の起こっている物語を軸に
日本書紀を編纂している藤原不比等の視点と
さらにさかのぼった明治に入ってからの視点と
これらが、ストーリーの中で交差していくのです。
根底には
歴史というものは常に勝者によって書き換えられるという考え方があり
藤原氏を正当化するために悪者にされてしまった蘇我入鹿の霊
怨霊と化した入鹿の霊をいかにおさめていくのか
ここが最大の読みどころです。
こういうのを読むと
歴史の教科書にほんの1~2行で書かれていることの中に
どれほど多くの嘘と本当があるのかを、改めて思いました。
歴史というのは、
どの立場から見るかによって、全く違うように見えてしまう。
事実は一つのはずなのに、見え方が全く違う。
それが、歴史のわかりにくさでもあり、魅力でもあります。
その視点の違いを知るには、
単に教科書で勉強しているだけでは、絶対に見えない部分があって
この漫画は、そういう部分をしっかり読ませてくれたのが、すごいなあと思いました
平安京の中で
なぜ、あれほどまでに藤原家が権力をほしいままにできたのか
それが、ようやくわかってきました。
それにしても、
こんな面白い漫画のおかげで
ますます歴史にハマっていきます。
コメント
私も「天武と天智」読んでみたいです!
子どもの頃、里中満智子さんの「天上の虹」を読み、あの時代の歴史にとても興味を持った為、高校生の時に希望者が参加できる、万葉大和旅行に二年連続で出かけました。すみません?私はどちらかというと、京都よりも奈良が好きなのです。今は近鉄沿線で割と奈良県に近い所に住んでいるので、古墳を見る為に、子どもと出かけたこともあります。
やはり歴史は権力者によって塗り替えられてしまうものなんでしょうね。本当はどうだったのか…?と考えるととても興味深いです。
早速本屋さんで探します!
この地味な漫画に興味を持ってくださる方がいるなんて、めちゃめちゃうれしい!!
天上の虹は、里中先生の代表作で、私も読みたいと思っていますが、電子書籍になっていないので、なかなか手が出ません。
持統天皇というのは、父が天智天皇で、夫は天武天皇で、夫婦仲が悪かったはずなのですが、書き換えられているのですよね。
すごく読みたくなってきました。
ちなみに、私は里中先生の「長屋王残照記」を、今読んでいます。
里中先生、良いですね~。
先生、「天上の虹」はまだお読みでなかったんですね。実家に全巻あるので、送ってさしあげたいものです!
「長屋王残照記」も「天上の虹」の登場人物につながる話なので、是非読んでいただきたいです。
今日本屋さんで「天智と天武」、探しましたが、見当たらなかったので、注文してきました!先にネットで立ち読みしたのですが、法隆寺の夢殿の秘仏だった救世観音像をフェノロサと岡倉天心が開けるシーンから始まるんですね。先日亡くなられた梅原猛さんの著書、「隠された十字架」で法隆寺は聖徳太子の怨霊を封じる為に建てられたと書かれていましたが、「天智と天武」では、蘇我入鹿の怨霊を封じていたのだと考えているようですね。謎が多い!法隆寺には何度か行ったことがあり、夢殿は外観しか見たことがなかったのですが、一昨年娘が小学校の修学旅行で法隆寺を訪れた際に、何と夢殿が公開されていて救世観音像を見たそうなのです。娘は仏像など全く興味がないのに・・・。毎年春と秋に公開されるそうなので、GWに神社仏閣好きな息子と見に行きたいと思っています。
また、この時代、朝鮮半島とのつながりが深く、中臣鎌足が百済の王子と同一人物と見ているのも興味深いです。日本では百済をどうして「くだら」と読むのか、実は「くだら=クーン ナラ」朝鮮語で大きな国の意味で、「奈良=ナラ」朝鮮語で国を意味するので、白村江の戦い後、百済の残党が日本に逃れ、国を作ったのではないかとする説も読んだことがあったので、話がつながってきますね。
早く読みたいです!
「長屋王残照記「」を読み終えて、「女帝の手記」に突入しました。いよいよ孝謙天皇まで来ました。これを読み終えれば、先日読んでいた「阿吽」→「応天の門」につながっていきます。
読み終えたら、またでいりいで書きますね。
「隠された十字架」は、10年くらい前に読もうとしたのですが、あの頃の私の頭ではついていけなかったのですが、今なら読めるかなと思ったりしています。救世観音像、公開されるのですか!?うわ~~~~~~。見てみたい・・・GWですか・・・・。うわ~~~~~。
この本では百済王=中臣鎌足ということになっていますが、これは関裕二さんがおっしゃっている説だそうで、これはかなり信ぴょう性があり、いろいろつじつまが合うんです。
是非是非読んでみて下さい。