でいりいおくじょのBLOG

2023.09.14

比較のない世界

父が亡くなって20年近くたっていて

私自身、自分が生きることで精いっぱいで

父のことを懐かしく思い出すことは、そんなになかったのですが

 

今年に入って、なぜかやたら父の事を思い出すのです。

 

それも、私が若いころに父と交わした会話の一つ一つが

ものすごく鮮明に思い出さられるのです。

 

そういう事ってあるんですかね?

 

父はとにかく本が好きで

家の中にはものすごい量の本があって

それだけ本があるのに、どんどん本を買っていました。

 

主に読んでいたのは

宗教と、哲学と、宇宙の本。

宗教に関しては、ありとあらゆる宗教の本を片っ端から読んでいて

自分ではクリスチャンだと言っていたけれど

私から見れば、単なる宗教オタクにしか見えませんでした。

 

だから、父の話すことは

いつも哲学的というか

どこか神がかっているというか

 

大学の先生という職業だからやっていけたようなもので

サラリーマンだったら、絶対生きていけないタイプ。

 

そんな父がいつも言っていたことの一つが

目に見えているものや、比較できるようなものは大事じゃない。

大事なものは、自分の頭の中と心の中にある。

という事でした。

 

お金や、地位や、名声や、学歴や、住んでいる家の大きさや、乗っている車や

身に着けている物や、

そんなもので、人の価値は決まらない。

 

内面の豊かさが人間の価値を決める。

 

そのために大事なのは

本を読むこと

経験をすること

自分の頭で考えて、自分の心で感じること。

 

小さな頃から、そういう価値観の中で育ってきたので

比較することも

比較されることも苦手です

 

勝ったとか、負けたとか

そういう勝負事も苦手です。

 

勝っても負けても悲しくなるのです。

 

東京に出てきて

料理研究家として仕事をし始めた時

そんなんでは、絶対に生き残れないよ

っていろんな人に言われました。

 

そうか、と思った時期もあるけれど

父の教えが心の深いところに根付いているので

変えることはできません。

 

でも

今もこうやって、料理研究家を続けているところを見ると

別に、人に勝たなくても生きていけるってことだな。

 

そんなわけで、

これまで人と比較することなしに

自分は自分と思って生きてきたはずなのに

 

読むと書くのエッセイ教室では

劣等感のかたまりになっています。

 

正直、打ちのめされています。

 

他の人との比較ではなく

自分が一生懸命書いたのであればそれでいいではないか

そう思って提出しています。

 

強く強く自分に言い聞かせています。

 

でもね、ボロボロになる。

 

今度の日曜日が教室で

先日、課題は提出したんだけれど

提出するのも、めちゃ勇気がいりましたよ。

 

こんな私を見たら父はなんて言うのかな?

 

まだまだ学びが足りないって笑うのかな。

 

そうだな。

確かに、まだまだ学び方が足りない。

そして経験も足りない。

 

でも

ボロボロになる経験なんてめったにできるもんじゃない。

そんな経験をさせてもらってよかったやないか。

 

父ならきっとそういうだろう。

 

そうか、これは、そういう経験なのか。

めったにできない経験なのか。

 

そっか、わかった。

がんばるよ。

 

2023年9月13日とら

寝るのが一番・・。

 

コメント

  1. めぐ より:

    奥薗先生、こんにちは。今日のお話し、とっても心に残りました。
    素敵なお父様ですね。まるで『星の王子様』の物語を地でいってるようなお父様‥。お父様のお言葉にとても励まされました。
    エッセイの件ですが奥薗先生の感じたままで、いいんじゃないかなと思います。(偉そうにすみません)奥薗先生の感じたことを私達は知りたいのです。お料理上手で、YouTubeでもみんなにわかりやすく説明してくれて文章を書くのも上手な奥薗先生にも苦手なことがあるんだなぁーって思いました。ファイトです♪
    まだまだ残暑が厳しいですが、しっかり食べてしっかり寝て乗り切りましょうね。

    1. 奥薗壽子 より:

      優しいコメント、ありがとうございます。
      そうですね、自分らしく、楽しみながら書く
      そういう事が大事ですよね。
      とても元気を頂きました。感謝です。
      まだまだ残暑が続きますね。お互い元気に過ごしましょうね。

  2. ぶんすけ より:

    こんにちは。
    お父さま、素敵ですね。
    ご存知かもしれませんが、宇多田ヒカルの「道」よかったら聴いてみてください。
    亡きお母さんへの想いがつまった素敵な曲です。

    目に見えるものだけを信じては行けないよ
    人生の岐路に立つ標識はありゃせぬ

    わたしの心の中にあなたがいる

    など、歌詞とシンクロしていて驚きました。
    影ながら応援しております!

    1. 奥薗壽子 より:

      宇多田ヒカルの「道」、教えて下さってありがとうございます。
      初めて聞きました。
      確かに、何か自分と通じるものを感じました。
      いい歌ですね。感謝です。

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