家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
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読書の季節ですね
娘が友人から勧められた本を読んで
「めちゃ考えさせられるわ～」
って言っているのを聞いて
いったい何を考えさせられているのかを知りたくて私も読んでみました。
「ままならないから私とあなた」（朝井リョウ著 文春文庫）
無駄なことを切り捨てて、効率優先で生きるデジタルな薫
無駄なことの中にこそ価値があると信じるアナログな雪子
正反対の価値観を持つ、幼馴染の二人の話です
正直、私は超アナログ人間で
コツコツ努力したり、遠回りすることの中に意味があると思ってました。
でもね、本当にそうなのか、と問われたら
正直、そうじゃないかもとも思ってる。
というのも、数年前、アルゴリズムに関する本を読んだとき
その中に、この小説とそっくりの話が出てきていて
これまでの歴史の中で、すごいといわれてきた作曲家たちのデーターを
コンピュータに入れて学習させて
その人たちの持っているものをミックスして、コンピューターに曲を作らせるの。
そうしたら、聞く人は、それがコンピューターが作ったものとは気づかずに大絶賛するんです。
また、ある芸術家が、（確か絵だったと思う）
コンピューターが創作したものと、実際に人が創作したもの見分けがつかないはずはないと言い張るんだけれど
実際やってみたら、まったく区別がつかなかったんです。
どちらも実話です。
これを読んだ時のざわざわとした感じを
この小説を読んだ時も感じました
これを、自分のことに置き換えたら
奥薗壽子のレシピをコンピューターに学習させれば
奥薗壽子本人よりも、もっと早く、もっとたくさん、奥薗壽子らしいレシピをかけて
それは、本人が書いたものと並べても、まったく違和感なく、区別もつかない。
つまり、そういう事なんです。
コンピューターが考えたレシピなんて、って思うのは簡単だけれど
もとになっているのは、奥薗壽子自身が持っているデータなのだから
奥薗壽子本人が考えたものなんですよね。
しかも楽ちんで、スピーデイーに、大量にレシピを作れる。
その時、私は、コツコツ試作をすることに対して、馬鹿らしいと思うんだろうか
いや、やっぱりそこにこそ、人間らしい温かさがあると信じられるんだろうか
自分の好みや満足感を別にしたら
世の中的には、たくさんのレシピがあった方が
選択肢が増えて、幸せなんだろう。
どっちがいいとか、悪いとか
どういう状況がいいかとか、
まったく答えが見つかりません。・
っていうか
もはやそういう事ではなく
でもただ、デジタル化が進めが進むほど
生身の人間は、ある意味生きづらくなるってことは確かなんじゃないかな。
便利であることと、生きづらいことが、
本当に表裏一体、すぐそばにある感じが、私はする。
おりしも、今日の新聞でＡＩ美空ひばりさんのコンサートのことを報じていました。
美空ひばりさんの声やら、歌い方の癖などをコンピューターに学習させることで
どんな歌でも、楽譜さえあれば、美空ひばりさんの歌声として歌えるのだそう。
美空ひばりさんファンとしては、うれしいとは思うけれど
やっぱり、何か、ちょっと心がざわっとするのは、
私がアナログ人間で、変なところに引っかかっているんだと思う。
新聞によると
こういうコンピュータによる、デジタル変換は、どんどん進んでいて
近い将来、映画も吹き替えなして、そのままの声で日本語にできるんだって。
これもまた、うれしいことではあるけれど
これによって、仕事を失う人もたくさん出てくるし
外国のスターさんとは違う声のセリフもまた、私はいいなあと思うので（アナログ人間です、はい）
どっちがいいのか、
これもまた価値観が分かれるとこ。
さてさて、
話を最初に戻すと
なんやかんや言っても
遠回りして、コツコツやるほうがいいといいつつ
知らず知らず、デジタルのお世話になって、その便利さを利用している自分がいるわけで
なんやかんや言っても、そういう影響と恩恵を受けながら、日々暮らしているわけで
そういう意味で、この本は、
本当に、いろんなことを考えさせられます、本当に。
もし読まれることがあったら、ご意見是非是非教えてください。
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