でいりいおくじょのBLOG

2019.09.29

読書日記「ウマし」

読書&食欲の季節なので

食べ物のエッセイを読みました。

 

「ウマし」(伊藤比呂美著 中央公論社)

 

グルメ本ではないのです。

ただ、好きなものを、しつこく食べまくる話。

 

食べ物の本はいいですよね、罪がなくて

人が何かを食べている話なんて、何が面白いのかと思われるかもしれませんが

面白いです。

読んでいるだけで、おなかがすいて、

猛烈にそれが食べたくなる。

なんでですかねえ。

 

ところで、

別の本で読んだんだけれど

詩人という職業の人は

言葉というものに対して、普通の人とは違うアプローチがあって

自分の中に、繰り返し繰り返しその言葉を自分の体の中まで入れて入れて、入れて、入れて

咀嚼して、咀嚼して、咀嚼して、咀嚼して

そうやって、体の一部になるまで、同化させてはじめて

自分の言葉として発することができるのだそう。

 

この本を読むと

食べ物も言葉も同じような過程で、身体に入っていく感じがしましたねえ。

 

実は、私も料理研究家という職業柄

食材と向き合うときは

ひたすら、同じ食材を食べまくるんです。

 

例えば、ナスを料理するとなると

なすばかり、ひたすらひたすら食べまくる。

 

それも、料理せずに、生のなすをまるかじりするの。

ひたすら、ひたすらなすと向き合う。

 

そうしたら、だんだん体の中がなすで満たされてきて

なすの気持ちがわかるようになって(ほんとよ)

なすのいいところも、悪いところも、わかりあえるようになって

 

そうして、初めて、どうやって食べるのがおいしいのか、考えられるようになる。

 

ちょっと前、テレビでなす料理を紹介しないといけなかったときは

1週間ほどの間に、ナスを80本くらい食べました。

 

料理がシンプルになればなるほど

(おそらく、わかりやすい短い言葉になればなるほど)

対象となる食べ物(ことば)と密に寄り添っていく必要があるという点で

言葉と料理はすごく似ている気がするなあ。

 

ところで、この本の中で気になっている料理が一つ。

 

ポテトチップスの話なんですが

卵かけご飯に、ポテトチップスをかけるとおいしいのだそう。

 

確かにトロリとした卵の食感と、シャリシャリのポテトチップス

これは合うなあ。

 

けれど、いかんせん、実は、世の中で唯一苦手なものが

卵かけご飯でして

食べられないんですよねえ。

 

砕いたポテトチップスをかければ、生卵を克服できるのか

 

目下、悶々と思案しているところ。

 

 

2019年9月28日本

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