家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
大阪での料理イベント
サクサクと終らせたら、京都にもう一度戻ってきて
最後にもう一回京都中華です。
目指すは “八楽”
ここは、昨日行った盛京亭の流れをくむお店。
まずは、焼き豚。
焼き豚というよりは、むしろ煮豚と言ったほうが近いかも。
脂肪の少ないもも肉が、見事にしっとり柔らかく仕上がっています。
たれは、しょうゆベースの甘めの甘辛味。
八角とかネギとか、そういうたぐいのものが一切入っていないので
家庭で作る和風の煮豚の味わいです。
たぶん、これが、後で食べる焼き飯の具にもなるので
焼き飯も日本の家庭料理っぽい味になるのだと思います。
次に、ここのお店の看板メニュー
若鶏ゆず六三風
からりと揚がった熱々の鶏のから揚げに甘酢のあんがかかっています。
鶏のから揚げは集めの衣がカリカリで、
その厚めの衣のおかげで鶏肉がふっくらジューシーです。
しかも、衣自体にも味がついているので、甘酢なしで鶏のから揚げだけで食べて、極上のおいしさ。
その鶏肉に、酸味控えめの優しい甘酢がかかっていて
その甘酢がトリノカリカリや旨みを引き立てています。
普通は、甘酢の味で肉や野菜を食べさせるのが甘酢いためだと思うのですが
それとは全く逆の発想で
おいしいから揚げのおいしさを引き立てるために甘酢がある。
甘ぞの中に混ざっている青しそも、単なる彩ではなく
しっかりわき役として、主役の鶏のおいしさを引き立てています
一歩下がって、主役を立てる。
恐るべし京都中華。
次にたのんだのが、
かに玉煮つけ
煮つけ?かに玉を?
しかも、煮つけって、中華料理に?
出てきたのがこれ
ふんわりとしたカニ入り卵焼きとあんが混然一体になったような感じ。
普通、芙蓉蟹というと、カニ入り卵焼きに、あんがさらりとかかっている感じですが
案がかかっているのではなく、ゆるゆるのかに玉をを固めのあんで煮付けた感じ。
うん、そうか、やっぱり煮つけとしかいいようないのかも・・。
でも、あんとかに玉が混然一体となって
あんのうまみがしっかり卵にからまり、得も言われぬおいしさなのです。
これも、あんのうまみが、しっかりとカニカマのおいしさを引き立てています。
ああ、これが京都中華か~。
そして最後は、やっぱりなんといっても焼き飯。
ここのお店は、盛京亭で修業した方がやっておられるということもあって
焼き飯は、盛京亭と同じ。
あらかじめ焼き豚やニンジン、タケノコなどを火薬ご飯の具のような感じで煮ておいて
それを卵と一緒に炒めたご飯に混ぜるやり方。
味も、見た目も盛京亭とそっくりなのですが
そっくりな中にも、ここのお店の個性がやっぱり際立っていて
というのも、本家の盛京亭の焼き飯よりも、しっとりとしていて柔らかい味
味付けも、なんかふんわりとまあるくて奥が深い。
たぶん、作るときに、スープか何かを加えて
全体に水分とうまみを足している?
そんな感じの味わいです。
味付けは、本家よりもむしろあっさりしているのに
味わいはぐっと奥深い。
本家の盛京亭は、レトロな昭和の味わいでしたが
その懐かしさを残しつつも、何か新しいおいしさに変化させ
ここのお店ならではの焼き飯として完成させておられたのが、すごいなあと思いました。
それにしても、焼きめしにぬか漬け
これは、池波正太郎さんが、盛京亭で好んで食べられたというメニューで
さらに、
池波正太郎さんの大好物の白売りの塩もみがさりげなく添えられているあたりも
なんだかとっても心憎い演出でした。
さてさて、
今回の京都散策は京都中華を軸にあちこち食べ歩いて
オリジナルの中華料理とは全く違う料理として
ひとつの京都中華というジャンルとしか言いようのない食の世界があることを実感しました。
その旨みの使い方
食材の引き算の仕方
主役と脇役の、役割分担のさせ方
いろんな意味で、ものすごく勉強になった二日間でした。
あとは、いかにこれを私なりに消化し、
私のオリジナル料理の中に、そのエッセンスと取り入れるか
これから、またいろいろ作りこむことで、発見することも多いと思います。
でも、本当に刺激をたくさん頂きました。
それにしても、よく食べました。
おなかいっぱい、大満足の二日間でした
本当にごちそうさまでした。
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