家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
うちには炊飯器がありません。
ご飯を炊くのは土鍋です。
言葉で書くと、なんか大変そうですが
炊飯器で炊くのも、土鍋で炊くのも、ほとんど同じ。
かまどに火を起こして炊くわけじゃなし
普通に火をつけて、沸騰したら5分ほど炊いて、あとは火を止めて置いておくだけ。
沸騰したら火を弱めるんだけれど
そのタイミングがちょっと難しいだけで
でも、それも、一回やれば、誰でもすぐに覚えられる。
土鍋ご飯のいいところは、おこげのできるところかな。
今は電気炊飯器でも、おこげができるそうですが
土鍋のおこげは、やっぱりいいよ。
美味しい!!
土鍋ご飯が炊きあがったら
なべ底の方から大きくまぜる。
上手くおこげが出来た時は、
ぺりっとはがれる感じでおこげが顔を出す。
この瞬間、たまりませんねえ。
ここで、おこげのところを全体に混ぜちゃう人もいるけれど
私は丁寧におこげのところだけをはがすようにして口に入れる。
おこげのおいしさは、なんといっても炊き立てよ。
炊きたての時の、このぺりっとはがした時のおこげの香り
香ばしく焼けた、焼きおにぎりの香りですよ。
それをね、台所で立ったまま、こっそり食べちゃう
この瞬間が、なんとも至福。
ご飯を炊いた人の特権ですわ。
お茶事の懐石で、
炊きたてすぐの、蒸らしの足りないびちゃびちゃしたご飯を一口だけ出されるんですが
あの、びちゃびちゃしたご飯のむせ返るような米の匂いと甘みは
どんなにうまくたけたご飯にもないもので
炊き上がる前の、あの一瞬だけに花開く。
おこげの香りも、そんな感じで
炊きあがった直後の、あの瞬間おこげの香りが最高!!
これをこっそり、台所で私が食べているなんてこと
家族には知りません。
ふふふ。
毎日ご飯を作っていて
こんな、ひそかな楽しみがあってもいいやんね。
コメント