家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
先日、鶏ガラをコトコト3時間ほど煮て、濃厚な鶏がらスープを作ったとき
私は、もう長いことこんな風なやり方でスープを取っていないなあと思い返して
なぜ、鶏ガラだけでスープを取るのをやめてしまったかを振り返ってみると
手羽先とか、手羽元とか、骨付き肉と野菜を一緒に煮るようになったから。
つまり、骨付き肉と野菜を一緒に煮れば、
骨から出た旨みたっぷりのスープと、ゆで鶏と、ゆで野菜を同時に作れちゃうわけで
骨だけを煮だすよりもうんとお得で合理的なんですよね。
そんなことを考えていたら、
そもそも、スープってどんな風に進化してきたのか、スープの歴史が知りたくなってきて
今日は、スープの歴史の本を読んでみました。
「スープの歴史」(ジャネットクラークソン著 原書房)
本当は、系統立てて、深くスープの歴史を知りたかったのだけれど
この本はスープに関するエピソードを、豊富な図とともに紹介するような本で
勉強するというより、楽しみながらスープに関するトリビア的なことを知ることができる本です。
面白いなあと思ったのは
スープって、それを煮る土器とか、鉄器とかが作られてから生まれた料理なのだと思っていたら、そうではなく
その昔、狩りで動物をつかまえたら
まず、内臓(胃袋とか)の中身を食べて、その胃袋をそのままくくって袋にしてぶら下げ
火にかけて、煮もの(スープ)を作っていたらしいのです。
これは、その当時の絵が残っているのです。
へ~~~っ!!!
さらに、地面に穴を掘って、そこに獣の皮を引き、
その中に水と具材を入れて、
熱した石をその中に入れて、一気に熱々の煮ものを作っていたらしい。
この方法は、現代でも、漁師さんがわっぱの弁当箱に味噌と水を入れて、焼いた熱々の石を入れて一気にみそ汁にしたりするのと同じなので、面白いなあと思いました。
さて、そんなスープですが
そもそもや、穀類や野菜、豆なんかをぐつぐつと、どろどろに煮たものがスープの最初のスタイルだそう。
そのうち、一緒に煮た肉を取り出して
肉は肉で食べ、スープはスープで飲めば、2倍の料理になるということに気づきます。
つまり、スープというのは、豆や穀類を軟らかく煮る方法でもあり、
そこにパンを浸して柔らかくして食べるものであり
更には、スープと具と二回楽しめるお得な料理であったわけです。
その流れで行くと、具のないスープだけを丁寧に作って、
それをベースに他の料理を作っていくという発想&料理法は
食文化的に見ると、とっても洗練された、進化した形といえるんじゃないですかね。
この本を読んで、そんなことを考えていたら
肉と野菜を煮て、肉は肉、スープはスープで食べる原始的でお得感満載のスープを作りたくなりました。
使うのは手羽先と手羽元。
今回は一緒にじゃがいもを煮ました。
コトコト煮ること15~20分
ジャガイモが柔らかくなったところで
ジャガイモと手羽先を引き上げます。
ジャガイモはつぶしてシンプルなポテトサラダに
手羽先は、ニンニクしょうゆをまぶしてグリルで焼いてみました。
一度ゆでているので、身が柔らかいのが特徴です。
ゆでた旨みが若干抜けているので、
それを補うために、豆板醤を効かせた甘辛ニンニク味噌をつけながら食べると
スープを取った出し殻とは思えないおいしさです。
残った手羽元は、更にコトコト煮て
身がほろほろと外れるくらいまで軟らかく煮て、お鍋の中で身をほぐしておきます。
(この時、軟骨が一緒にポロリと取れるくらいがいいですね。軟骨もおいしいのです)
あとは、鶏のスープにご飯とほぐした水と、しょうがのせん切り、ネギなどを入れて煮れば
本格的なおいしい鶏がゆの完成です。
骨から溶け出した旨みたっぷりなんですが
鶏ガラよりはうんとあっさり目で、和風な感じの味わいです。
残った、スープは大根を煮るもよし、キャベツを煮るもよしですね。
ほらね、スープって、こんな風にいろんな具材をがーっと一緒に煮て
煮た具材をそれぞれ違う料理に使っていくと
お得感満載。
スープって、こういう作り方、使い方もありだと思うのです。
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最後になりましたが、今日のお弁当。
鮭の粒マスタード焼き
ピーマンのお浸し
ひじきと人参と油揚げの煮もの
ジャガイモとソーセージのカレー炒め
鮭は、グリルで八分通り焼いたところに
マヨネーズと粒マスタードを混ぜたものを塗って、さらに焼いただけ
マヨネーズの油分でしっとりふっくら仕上がり
粒マスタードの酸味でさっぱりと食べられます。
ジャガイモはカレー粉を少し加えることで
味に変化をつけました。
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