家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
ここのところ、少々激しいものばかり読んでいたので
この辺で、ちょっと心静かな物を読んでみたくなりました。
「しずかな日々」(椰月美智子著 講談社)
4年生までは、引っ込みじあんで目立たない生徒だったぼくが
5年生のクラス替えで、押野といういい友達に出会い、
友達やおじいさんとのかかわりの中で成長していく物語です。
もともと、僕はお母さんとの二人暮らしだったんだけれど
お母さんが仕事をやめて、ちょっと怪しい仕事を始めることになり
引っ越しをしないといけないことになるんです。
けれど、せっかくできた友達と離れたくなくて
おじいさんの家でおじいさんと暮らし、そこから学校に通うことになります。
この本の物語の中心は、おじいさんのところに住み始めたぼくの夏休みの話です。
子供なりに、いろんなことがあるんです。
朝起きて、朝の用事をして、ご飯を食べて、プールに行って
というような、ささやかな出来事の繰り返しなんだけれど
その中で、笑ったり、びっくりしたり、うれしがったり、心配したりして、
毎日が過ぎていきます。
この本を読みながら
小学生の頃の夏休みのことを、いろいろ思い出しました。
夏休み中に、学校のプールに行かないといけないのが、ものすごくいやだったのは
この本のぼくと一緒で
かなづちなので、いつもプールの端の方で、プールのへりにつかまって、足をバタバタさせたりしていて
それがすごーくいやだったんだけれど
更衣室の匂いとか、プールに入る前のシャワーの水が当たる感触とか
今でもすごーく覚えています。
プールから帰ってきた後、
やることもなく、家でゴロゴロしながら本を読んでいたけだるい感じとか、
妙にリアルに思い出したり・・。
この本のぼくはグッピーを買っているんだけれど
私は、なぜか蚕を飼っていて
蚕に食べさせるための桑の葉をせっせと取りに行って
蚕がどんな風に桑の葉を食べて、どれくらいの大きさになったかを
毎日観察日記につけていたこととかも思い出しました。
ゼリーを作るのにもハマっていて
毎日毎日ゼリーを作っては、一杯一杯ゼリーを食べていた事も懐かしく思い出しました。
毎日いろんなことがあり
毎日、驚いたり、笑ったり、怒ったり、学んだり
子供の頃は、本当に忙しくて、騒がしくて、楽しかったなあと思います。
それじゃあ
この本のタイトルである、しずかな日々というのは、いったい何のことを言っているんだろうと考えてみました。
人生には、そんな大きな事件なんてそんなにたくさんない
本の最後に、主人公のぼくが大人になって、そう結論付けるんです
大人になって、自分の人生をかんがえてみると
そんなに大きな事件はそんなにないけれど
しずかな日々の中に、時々起こる、ちょっとしたことが
人生の醍醐味で
その一方で、何にもないしずかな日々も幸せだなあって思えました。
小学生の子供を持つ人が読んだら
また違った感想になるのかもしれませんが
私は、自分が子供だった頃を思い出し、懐かしい気持ちになれた本でした。
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