家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
私がよく行く魚屋さんは品ぞろえが豊富で
お寿司コーナー、お刺身、一尾丸ごともあれば切り身もあり、
明太子やちりめんじゃこ、塩サケなどの塩蔵ものも豊富です。
入り口近くの一角に、今日の特売品のコーナーがあって
マグロの刺身だったり、ブリの切り身だったり、お刺身サーモンだっだりが
日替わりで、ずらりと並べられます。
私がお魚屋さんに行くと
まず、今日の特売品コーナをチェックして
それから、お刺身やら他の魚のラインナップをざっと見て、
その日に買うものを決めるのですが
今日の特売品はちりめんじゃこ。
ちりめんじゃこは悪くないけど、メインのおかずにならないしなあ
などと思いながら、特売品コーナーの横のお刺身を物色していたら
ちりめんじゃこを売っているお兄さんが突然声を張り上げて
カルシウム、カルシウム
ちりめんじゃこを食べてカルシウム
カルシウムをとらなきゃいけませーん!!!
その口上が、なんとも軽妙でテンポよく
確かにカルシウムとなきゃなあと思い
おもわず
「カルシウムください!!」
と言ってしまったら
お兄さんも、虚を突かれたようで
「マジっすか!?」
マジっすかって、マジっすよ。
なーんて、かみ合ってるんだ、かみ合ってないんだかわからない会話をしているうちに
気が付いたら、大量のちりめんじゃこの入った袋を握ってました。
お兄さんも、なんかわからないまま、めちゃめちゃおまけしてくれたみたい。
いや~、やっぱり売り場のお兄さんとは、親しくなるものです。
というわけで、大量のちりめんじゃこ。
どうしたものかと考えて、
ちりめん山椒を煮ることにしました。
ただし普通のちりめん山椒じゃなくて
以前、京都で食べた、白みそ入りのちりめん山椒。
それは、京都の“ごだん宮ざわ”というお店で、ご飯と一緒に供されたもので
白みそが入っていることで、こっくりとしたコクがプラスされ
おなじみのちりめん山椒よりも、まろやかな優しい味でとてもおいしいものでした。
家に帰ったら、絶対作ってみようと思いつつ
なかなか時間がなく、
今日ちりめんじゃこを大量にゲットしたので
これで、やっと作れます。
一般的なちりめん山椒の作り方は
ちりめんじゃこをさっと下茹でして、それからしょうゆとみりんと山椒の実を入れてコトコトと煮ます。
けれど、私は、ちりめんじゃこを下茹ですると、
確かにじゃこの臭みをとったり、塩分を抜いたりできるので
調味料の味を入れやすくなりますが、
ゆでることでうまみも逃げてしまうので、何だかそれがちょっともったいない気がして
家庭で作るなら、下茹でなしで、じゃこの塩分もうまみも全部上手に利用して作るほうがいいんじゃないかと思っています。
こういうのって、お店の味と家庭の味、それぞれ違って、それぞれのおいしさがあるほうがいいと思うからです。
なので、私は、ちりめんじゃこ、水、酒、白みそ、みりんを鍋に入れて火にかけ
水分がなくなってパらりとなるまで、味を含ませながら煮詰めていきます。
最後に山椒の実を入れれば出来上がり。
味を見て、ほんの少しだけ、最後に薄口しょうゆを入れて、しょうゆの香りをプラスしました。
アツアツのごはんに、たっぷりのせて頬張れば
う~ん、山椒の香りと、ちりめんじゃこのうまみ
そして、しょうゆとみりんで煮たのとは違う、まったりとしたコク。
おおーっ、これはご飯がすすむわ。
ご飯が、ご飯がすすむ君ですわ。
あの時、京都で食べたものと比べてみたら
結構見た目も違っていました。
たぶん、ちりめんじゃこを下茹でしてたら
もう少ししょうゆを足すことができて
そうなれば、もう少し茶色くなったかなと
でもね料理に正解はないですから
我が家の白みそちりめん山椒ということで
当分は、ご飯の時間が楽しみ、楽しみ。
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