家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
久しぶりにミステリーが読みたくなり
前から読みたかった「幻夏」を読もうと思ったんです。
でも、この本、どうやらシリーズになっているらしく
書かれた順番通り、シリーズの最初の作品から読むことにしました。
「犯罪者」(上)(下)(太田愛著 角川文庫)
著者はドラマ「相棒」の脚本を書いておられる方
あの人気ドラマを書いておられる方が書かれたサスペンスですから
面白くないはずがない!!
物語は
いきなり深大寺駅の駅前で無差別殺人事件から始まります。
ナイフで5人が刺され4人が死亡、
一人生き残った繁藤修二のもとに、知らない男性がやってきて
「あと10日、10日だけ生きのびてくれ、君が最後の一人なんだ」
といって、立ち去るんです。
なんやて?
無差別殺人で、助かった人に10日だけ生き延びろって何?
いきなり、ガシッと心をわしづかみ。
修二はだれかに追われ、
なんかわからない登場人物がどんどん出てきて
全然脈絡のない事件が起こり
で、全然何がどこでどうなっているのかわからないのに
なぜか繁藤修二は、めちゃめちゅ狙われている。
修二を殺したい人と、
修二に生き残ってほしい人と
なんかわかんないけれど修二を助けている人と
この3つがつながっているはずなんだけれど
それがわかるようでわからない。
そもそも修二が追われているという事は
修二が襲われた事件は無差別殺人事件ではなく
最初から、確実に狙っているわけで
ねらわれているのだけれど
そこで殺されたほかの4人とは、面識もないし、まったくつながりもないから
そもそも狙われる理由も思い当たらない。
とにかく、逃げるしかない。
やがて、バラバラで起こっているかのように見えた事件が
少しずつ少しずつつながっていって
一見ばらばらだった人たちが
おおーーーーっ、おおーーーーっ
って感じで、つながっていく。
もう、こうなると、めちゃめちゃ面白くて
もう、他のことは後回しにして、とにかく続きを読まずにはおれない
ああ~~~~~っ、これ、あかんやつです。
面白すぎて、やらないといけないこと、全部ほっぽり出して読んでしまう奴です。
そして
後半は、一気にいろんなことが解決していくのかと思いきや
これがまた、一転、二転、三転、四転
まあ、ことごとく予定通りにいかない、いかない、いかない。
最後の最後まで、ハラハラドキドキ、最後の着地点が見えない展開です。
すごいわ、さすが脚本家の書かれたサスペンスだけある。
最後のページまで、本当に目が離せませんでした。
本当に、よくできた話です、すごい!!
更に
ストーリーも面白いんだけれど
企業と政治の癒着とか
食品の安全性や、医療問題
自然環境の問題
そして、世の中の理不尽さとか
サスペンスではありますが、ものすごくいろんな問題提起がなされていて
人の幸せとは何かとか、自分は、何を大切にし、何を守って生きているんだろうとか
そういう深いことも、すごく考えさせられました。
今の社会というのは、ピラミッド構造になっていて
結局、ピラミッドのトップにいる人たちは、痛みを感じることもなく
いつも、しわ寄せを食うのは底辺の方にいる人間なのだというところが
少しやりきれない気持ちにはなりましたが。
それでも、この話が、すごくいやな後味を残していないのは
登場人物が、それぞれに前向きで、魅力的だったからなのかなと思います。
鑓水、相馬、修二、みんな大好きになりました。
この3人の食べる料理、食べっぷりがなんとも気持ちよく
ご飯がおいしく食べられるって
やっぱりそこが大事だなって思えました。
絶対にあきらめず、ひょうひょうと前を向いて生きる。
そういうの、かっこいい。
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