でいりいおくじょのBLOG

2020.03.30

読書日記「風の谷のナウシカ」

この前、魔女の宅急便を見て、ジブリ熱に火が付きました。

昔から、ずーっとジブリが好きで

中でも「ナウシカ」が好きなんです。

 

あの当時、アニメでこんな深い物語が作れるんだと思って

ものすごく感動したのを覚えています。

 

で、実は漫画本の方も、ずーっと前から持ってはいたんですが

読みかけては挫折、読みかけては挫折を繰り返し

結局全部読まないままになっているのを思い出し

この土日で読みました。

 

「風の谷のナウシカ」①~⑦(宮崎駿著 徳間書店)

 

「風の谷のナウシカ」って全7巻の壮大な物語で

映画化されているのは、2巻の最初の部分までなんです。

だから、本当にさわりだけなんですよね。

 

なんで、こんな中途半端なところだけを映画にしたのかというと

映画化の話が出たときに、描きあがっていたのがここまでだったそうで

そこまでしかアニメにできなかったのだそう。

 

続編を見たいという声も、その当時からあったようですが

宮崎駿監督が、首を縦に振らなかったのだとか。

 

映画を見て、めちゃめちゃ感動した私は

すぐに原作の漫画を買い、読み始めたものの

これが結構、難解でして。

 

真剣に、まじめに向き合って読まないと

何がどうなっているのか、わかんなくなってくるんです。

 

それで、時間が出来たら、読もう読もうと思っているうちに

今になってしまったというわけです。

 

ざっくりとしたストーリーを説明すると

 

時は、巨大産業文明により、人間が世界を汚しまくり

火の七日間戦争により、旧世界の大部分が焼き尽くされてしまっている時代。

 

不毛と化した大地には、腐海という森が生まれ、

そこには虫たちだけが生きていて、しょう気という有毒物質を発している

その腐海がどんどん広がり、やがて地表全体覆いつくそうとしている

 

その残された土地に、いくつかの大国と、いくつか部族が残っている。

一番大きな大国であるトルメキアが

王位継承問題で、兄弟どおして内部紛争を起こし

その戦いが、周りで暮らしている部族たちを巻き込んでいく。

 

火の七日間戦争を引き起こした巨神兵を持っている土鬼は

その巨神兵を奪おうとする者たちに狙われて、国を追われ、買える土地を失う

 

オームという虫の甲皮で作った武具を人々は競って求め

その武具を作るために、商人たちはオームを殺すようになる。

けれど、それは自滅の道となり、商人たちは国を失い

腐海の森をさまよう虫使いという差別される民になってしまう。

 

いろんな部族と、それを主導しているものがいて

また、それぞれに信じている神や、大事にしているものがあって

相容れない価値観がぶつかり合い

差別や、憎しみや、絶望や、虚無の中で戦いを繰り広げていくのです。

とにかく、誰が,誰を憎み、なぜこれほど悲しいことになるのか

全貌がわかりづらく、かなり複雑です。

 

でも、ざっくりというと

近代文明は、いったい何をもたらしたのかという事を問うているんだと思うんです。

 

結局

近代文明が生み出した工業製品は、戦争のための道具になり

そこから生み出されたものが憎しみや、差別や、悲しみを作り出し

それによって、人は多くのものを失った。

 

豊かさや幸せを求めたはずが、結果はそうではなかった。

 

けれど、最終的には

そこからもたらす、エゴや、悲しみや、悔しさも、また必要だと言っているようにも読めます。

 

つまり、そこから目を背けるのではなく

失敗をしっかりとみつめなおし

そこから学んで前に進まなければならない。

そんなメッセージも感じました。

 

腐海が毒を浄化してくれるように

いろんなものを浄化しながら、命はつながっていくし

命をつないでいかなければならない。

 

多分、宮崎駿さん自身が経験された戦争体験や

原爆の悲惨さや

そういうことを、二度と繰り返してはいけない

そのためには、それを隠すのではなく伝えていくことが大事だと

思っておられるような気がしました。

 

風や、土や、太陽や空気や虫や植物、動物や

そういったものすべて、一つ一つに神が宿っているという

日本的な自然崇拝も、この話の根底に感じます。

 

そんな自然という神の力と、文明は共存できるのか

というテーマは、「ナウシカ2」ではなく

「もののけ姫」となって、完成されたのだなと思いました。

 

この漫画自体は

いろんな説明が省略されていて

読みにくくて、難解な漫画だとは思いますが

 

それでも、アニメ映画だけではわからなかった深いメッセージを受け取れるので

一読の価値ありです。

 

2020年3月29日ナウシカ

コメント

  1. 原口富久美 より:

    ナウシカのこの本、主人も持ってます。
    主人も 昔から大好きで揃えていました。
    アニメとはまた違うよさがありますね

    1. 奥薗壽子 より:

      原作の漫画は、映画ではわからなかった壮大な世界観で
      ものすごいたくさんのメッセージが込められています。
      アニメを見た人も、原作を読んでほしいです。

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