家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
天才とは
1%の才能と99%の努力できているって、本当だったんだ
と思わせてくれる本
「人をつくる読書術」(佐藤優著 青春新書)
著者の佐藤優さんといえば、現在の知の巨人。
元外交官であり、文筆家であり、神学者、教育者、コメンテイターなど
様々な分野で活躍されている方。
この本は、佐藤優さんが、どんな本を選び、どんな風に読めばいいのかを語っておられる本。
本というのは、まず知的好奇心を刺激し
知的好奇心が広がっていくことで、多くの人とつながっていける
というのがこの本の根底にあります。
本を読むことで、内面も、現実の世界も広がり
広い世界を持つことで、柔軟に生きることができるようになり
それが、人間としての強さになる。
つまり、どんな状況でも心折れることなく、強くしぶとく生気抜くために
いい本を読むことが大事。
でも、世の本は玉石混合なので
読むべき本を、読むべきタイミングで手に取ることがとても大切
そのためのガイドをされているのが、この本です。
どんな人たちとつながり、自分がどうなりたいかによって、
選ぶ本は、おのずと違ってくるので
この本では
作家を作る本の読み方
外交官を作る本の読み方
人間を作る本の読み方
教育者を作る本の読み方
教養人を作る本の読み方
キリスト教者を作る本の読み方
という風に分かれています。
このカテゴリーわけが、ものすごく佐藤優さんぽいなって思ったのと
本を選ぶとき、確かに無意識でいくつかのカテゴリーに分けていることに気づいて
これが面白いなって思いました。
各章では、それぞれに、広い範囲から本がチョイスされていて
やっぱり、一つの作家さんとか、一つのテーマばかりを読むのではなく
いろんなものに興味を持って、読み進めていくというのは
やっぱり読書の基本ですね。
例えば、教養人を作る本の読み方という章では
「ロウソクの科学」
「不完全性定理とは何か」
という本があるかと思えば
「モモ」
「海底2万里」
のような子供向きなんだけれど、大人も楽しめる本もあり
「キングダム」や
「闇金ウシジマくん」
といった漫画まで出てくる。
これはテリトリーが広すぎるやろ。
思わず、叫びそうになる。
中でも「闇金ウシジマくん」は
実は、以前から、気になっていた漫画だったのですが
アウトローすぎる気がして読んだことがなく
っていうか、下手に読んではいけないような気がしていた漫画だったのです。
でも、佐藤優さんがおすすめされているのなら読んでみてもいいなあって気になり
たまたまライン漫画で1巻目が特別無料になっていたので読んでみたら
めちゃめちゃ深い話でびっくりしました。
思わず2巻まで一気読みしました。
国家とアウトローの世界は本質的に同じ
という佐藤優さんの言葉が、妙に心に響き、納得できました。
コロナで大変なこの時期に、読むべき漫画かどうかは、正直わかりませんが
でも、ものすごく、衝撃的で、深くいろんなことを考えさせられる漫画です。
また、キリスト教者を作る本の読み方のところでは
遠藤周作さんの「沈黙」が紹介されているのですが
この説明部分は、本当に良かった。
さすが、神学を専門にされている方は、違うなあって思いました。
実は、キリスト教のことを知りたいと思った時期があったんです。
キリスト教を知らないと
本当の意味で、西洋の芸術も、音楽も、文学も理解することができない
と佐藤優さんも書いておられますが
本当にそうだと思っていて、何かとっかかりだけでいいから知りたいと思っていたんです。
その時、遠藤周作さんの「深い河」は、3回くらい読んで
神というものについて、ぼんやりと分かったような気になって
その後「沈黙」、これは映画で見たら
信仰とか、神とかって、いったい何なのか、まったくわからなくなり
なんか、もやもやしたものだけが、ずーっと心の中に残ってしまったんです。
で、今回、佐藤さんの説明を読んで、
その霧が、パーっと晴れた!
ああ、そういう事だったのかって思ったら
今度は本で「沈黙」を読んでみたくなりました。
これもまた、出会いですね。
で、最終的に思ったこと。
佐藤優さんは、たしかに知の巨人だし
その知識の広さと、思考の深さはすごい。
でも、それは、生まれながらに持っておられたことではなく
(もちろん、もともとすごく頭のいい方なのだとは思いますが)
ものすごい読書をして、ものすごくたくさん書いて
その中で、ものすごくたくさんのことを考えて
そうやって、ものすごく努力されてこその、知の巨人なのだという事が
すごくよくわかりました。
もともと持っていた1%の優秀さが違うので、
到達できるところも違うのは当然としても
やっぱり、もっともっと本を読めば、視野が広がり、考える深さも深くなる。
そうなったら、もっともっと人生が楽しくなり
しぶとく生きる力がつく気がする。
これからも、もっともっと本を読みたいなって思える本でした。
すごい!!
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