家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
食べ物は
味わう楽しみ以外にも、語る楽しみ、知る楽しみ、思い出す楽しみなど
いろんな楽しみがあって
まさに食べる事は、人生を豊かにする方法を学べる学校だなあと思えた一冊です。
「食卓は学校である」(玉村豊男著 集英社新書)
この本は玉村豊男さんが
食について書いてこられたことを編集しなおし、一冊にまとめ
6時間の授業形式で語っておられる本です。
1限目 食の時間
2限目 食の作法
3限目 食の進化
4限目 食の伝播
5限目 食の禁忌
6限目 食の仲間
博識の玉村さんのお話ですから
どれも全部、ものすごく面白くて、
読み終わった後は、自分が物知りになったような気分になれます。
どの話もすごく思い白かったんだけれど
特に面白かった話を上げると
フランス人の食の作法について書かれているところ
やはりご専門のところだけあって、すごく興味深かったです。
以前、フランス式のフルコースってロシアの料理のだし方をまねしたものだというのを
米原万里さんの本で読んだんだけれど
これの更に詳しい話が書いてあって
それによると
フランス革命によって、宮廷料理人が失職し
生計を立てるために、街に出てお店を始めたのがフランスのレストランの始まりで
レストランでは、当然ロシア式の一品一品出すサービスを提供されたことから
それが一般家庭に広まって
フランス人のごく当たり前の習慣になり
前菜→メイン→デザート
という順番で食べるが、しっかりDNAレベルで組み込まれているのだそう。
先日読んだスパイ小説に紹介されていた料理のすべてが
全部、前菜、メイン、デザートで構成されていたのは
もてなし用の料理だからというわけではなく
あれは、日本人でいうところの一汁三菜的な感じで
当たり前の献立だったんですね。
へえ~~~~、なるほど…。
さらに面白いのはここからで
前菜→メイン→デザートと一品一品供されるのが
全部最初から食卓に並べられている日本の食卓とは違うっていうのはわかるんだけれど
例えば、機内食みたいに
ワンプレートで出てくる場合でも
これは前菜、これはメイン、これはデザートっていう風に認識して
一品一品を食べるのが当たり前なんだそう
毎日の食習慣って、すごいなあ。
更に、更に。
レストランとかで
友達や家族と
自分の料理を取り分けて、少しずつ味見をするって、日本人ならよくやるけれど
(私も当たり前のようにやります)
これもフランス人の間では、ありえないらしく
どれくらいあり得ないかという
中華料理でも
自分の注文した料理は自分で食べる
焼き豚でも、から揚げでも、基本的に一人一皿
メイン料理として食べるって書かれていて
えええええ~~~~!!!
分けたほうが、楽しくておいしいんじゃないの???
って思ってしまう私は、やっぱり日本人です。
これ以外にも
興味深い話が満載で
最初から最後まで、本当に面白く勉強できることがてんこ盛りに書かれています。
日本の食について、西日本と東日本みたいな比較も面白いけれど
世界の他の国と、日本の食文化を比較していくというのも面白いですね
世界の中の日本として、改めて日本の食文化を見直してみるっていうのもいいなって
この本を読んで思いました。
知って得する話が満載。
おすすめです。
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