家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
またしても、新聞の読者投稿欄の話です。
書いた人は、女子大生。
コロナの自粛で、彼氏と会えなくなり
その間、お互いにネットで好きな本を送りあいっこすることにしたという。
彼女は彼氏に有川浩さんの小説(タイトルはわかりません)を送り
彼からは「深夜特急」全6巻が送られてきた。
最初は、全部読めるだろうかと思いながらも、
コロナで時間がたくさんあったので。
コツコツ読み進め。
コロナが収束するころには、5巻まで読み進め
最終的には読破されるんです。
この文章を読んだ時に
最初に、思い浮かんだのは
あいみょんの「君はロックを聴かない」という歌でした。
この歌は、ロックなんか聴かないような女性に、
自分の大好きなロックのナンバーを聴かせるという歌なんだけれど
ロックを好きになってもらいたいんじゃなくて
これまで、自分がどんな恋愛をして、どんな風に喜んだり、悲しんだり、くるしんだりしてきたのかという事を
自分がどんな音楽を聴いてきたかを知ってもらうことで、
自分という人間を伝えたい、わかってほしい
そういう思いが伝わってくる歌なんです。
ロックなんか聴かないような女性に、自分が大事にしているロックを聴いてもらって
自分という人間を知ってもらいたい。
それは、自分の大好きな本を読んでもらうことで、自分という人間を知ってもらいたい
という思いと同じなんじゃないかと思ったんです。
私、これ、すごくよくわかります。
たぶん、この本を贈られた彼女も
最初は、全6巻のノンフイクション旅行記、しかも香港からロンドンまでを放浪する話なんて
もしかしたら、興味なかったかもしれない。
けれど、旅行好きな彼らしいと思って
そこから頑張って読み進むうちに
少しずつ、彼の心に寄り添っていったんじゃないかと思うんです。
それを想像すると、キュンキュンする。
そういうの、いいなあ~~~~。
自分を知ってもらいたい
相手のことをもっとよく知りたい。
会ったり話をしたりする意外に
メールやネット発信や
伝える手段はたくさんあって
なんだか、知っているような気になっていることがあるけれど
見えている部分は、ほんの一部で
本当は、見えていない部分の方の方が、ずっとずっと多い。
なのに、あたかも、全部分かったかのような気持ちになったりしている。
だからこそ
言葉にできないようなことも、大事に丁寧にくみ取ったり、感じたりしながら
少しずつ、ゆっくり人間関係を作っていく
そういう事が、大事だなあと改めて思いました。
恋人同士でなくても。
友達同士でも、仕事仲間でも、親子でも。
わかったようなつもりでいても
実際、わかっていることはほんの少しだからこそ
一生懸命伝えようとすること
わかろうと努力し続けること
想像力や、思いやりも大切ね。
そんなことの大切さを、コロナが気づかせてくれたのかもしれません。
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