でいりいおくじょのBLOG

2020.07.23

映画日記「パラサイト 半地下の家族」

9月に出る本の原稿書き

まずは第一段階、終了。

まだ、全体の半分なんですが

とりあえず予定通り書き終えたので

ご褒美に映画を見ました。

 

「パラサイト 半地下の家族」

 

昨年の94回アカデミー賞を受賞した話題の作品です。

ちょうど、劇場公開の時期にコロナで自粛になり

見に行くことができなかった作品です。

 

有料ですがネット配信になったので

見たいみたいと思いながら、なかなか見る時間がなく

ようやく見ることができました。

 

半地下住宅で暮らすキム一家は

内職で何とか食べているような貧しい暮らし。

 

半地下の家の窓から見えるのは、ごみごみした地上。

空を見上げる事さえできない。

ゴミ袋が散乱しているところで酔っ払いがおしっこをしていて

その姿を、日々見上げながらご飯を食べている。

 

両親は仕事もなく、アルバイトで小銭を稼いで日々暮らしていて

大学に生きたくても、予備校に行くお金もない。

 

そんなキム家の長男ギウが、エリート大学生の友人から

IT社長の娘のアルバイトを代わりにやってくれないかと頼まれるんです。

 

そこは高台にあるものすごい豪邸で

お金持ちの一家は、やさしくて、ピュアで、とてもいい人たち。

 

ギウは、嘘をついて、妹も家庭教師になり

やがて、運転手を追い出して、父親が運転手となり

家政婦を追い出し、母親が家政婦となる。

 

この辺までは、笑える話だったのだけれど…。

 

この映画の根底にある格差社会というテーマが

段々笑えない現実として迫ってきます。

 

半地下暮らしと、高台の暮らしの間には

どう頑張っても交われない溝がある

 

貧しい一家は、金持ちの一家に寄生して

そこから、少しだけ美味しい汁を吸って

お互いに、その領域を侵害せずにいる間はよかったんです。

 

ところが寄生は、あくまで節度が必要で

その微妙なバランスを崩して

もっともっとと宿主から吸い取ろうとした途端

寄生関係のバランスが崩壊してしまう。

 

バランスが崩れた時、

おこるのは寄生虫通しの共食い。

崩壊するのは寄生する側のバランスだけ。

上にいる人間は、そんなことが起こっている事さえ気づかない。

 

雨の日に、床上浸水になって、

半地下の部屋に水が入ってきて

ありとあらゆるものが、水に沈んだり、ぷかぷか浮かんだりして

ぐちゃぐちゃになるシーンがあるんだけれど

それが、いろんなことを象徴している気がしました。

 

雨が降っても、高台の家では家の中で雨を見ながら

そんなことが起こっていると、想像さえしていない・・・。

 

ネタバレになるので、これ以上かけないのですが

 

最後の終わり方は、いろんな問題提起がされていて

興味深かったです。

 

半地下にいる人間は

自分の力で這い上がって、半地下から抜け出ようとするけれど

実際に這い上がれるかどうかわからないし

そこを目指すこと自体、悲しいことなのかもしれない

 

計画なんか立てない方がいいんだ、

上手くいかなかったら、悲しくなるから‥というセリフがあったのだけれど

 

それでも、いつか金持ちになって、

半地下生活から抜け出すことを目標にして必死で頑張ること

その目標自体が、生きていく心の支えになるのだとしたら

そこに何か希望のようなものが残されている気もする

 

見終わった後、なんとも言えない余韻(後味)が残り

心の中が、じわっとするというか、ざわッとした映画でした。

 

2020年7月23日パラサイト

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