家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
一時、焼き海苔中毒みたいになってしまって
毎日全形の海苔を10枚近く食べてたことがあったんです。
めっちゃ怪しい。
そんなに海苔ばっかり食べてどうするの、と頭ではわかってるんだけれど
どうしても食べるのがやめられない。
あの頃、睡眠を削って、フラフラになりながら仕事をしていた時期で
多分、体の中でミネラルやビタミンが不足しまくっていて
海苔って、ビタミンミネラルの宝庫だし
(ベータカロテン、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄分、葉酸、ビタミンD,Kなどなど、どれを取ってみてもトップクラスの含有量)
手軽にたくさん食べられるから
本能的に、体が求めたんだと思う。
(あとからわかったことだけど、その当時極度の貧血でした)
ちなみに、一つのものを大量に偏食するのって
やっぱり、ストレスとか、不規則な生活リズムとか
そういうものを体が本能的に調整していると考えたほうがいいと思う。
私の知り合いで、夜な夜な、氷をがりがり食べずにはおれないという人がいたんだけれど
それなんかは、完全にストレスによる行動だそうですよ。
(氷を食べるのをやめようと思うより、ストレスの原因を改善したほうがいいと思う)
ところで、海苔といえば
以前、千葉の木更津に海苔の養殖を見学しに行ったことがあります。
東京とか千葉とかって、昔から海苔の養殖が盛んなところで
全国的に有名な海苔の産地でもありますね。
日比谷は、養殖に使う”ひび”という道具がたくさんあったからついた名前だというのは有名な話。
ひびというのは、棒のついた網のようなもので
その網の部分に、種海苔を植え付けて海に沈め、海苔を増やしていく道具です。
昔は、その棒を海の底に固定して
潮の満ち引きによって、種のりの部分が海の中に使ったり、
海面の上に出て干されたりして
(種のりは、海に使っているときに成長する)
ゆっくりと、海苔を育てていたそうなのですが
私が見学させてもたったところでは
ひびを固定せず、海中にぶかぶか浮かんでいる状態
このことによって、潮の満ち引きに関係なく、常に海中に使っている状態を保てるようになったため
大量に、早く、海苔を養殖できるそうです。
この海苔を採取して、
和紙の紙すきみたいな感じで、薄く平たく伸ばして干したものが焼き海苔ですね。
その時、養殖をやられている方にお話を聞いたのですが
コンビニのおにぎりが大量に流通するようになり
それのおかげで、海苔の需要はとっても増えたけれど
大量生産のオートメーションで海苔をおにぎりに巻くため
破れにくくて、色が黒くて光沢のある海苔が、重宝されるようになった。
いい海苔の基準というのは
味とか、香りとか、口どけとか、いろいろあって、
そこはプロとしてこだわって作っておられるところなんだけれど
市場で求められる基準が、そこじゃなくなってきているんだよね、と
ちょっと寂しそうにおっしゃっていました。
その時、一番おいしい海苔の食べ方って何ですか
と、質問したら
炊き立てのご飯で握ったアツアツのおにぎりに海苔をまいて
ご飯の水分をちょっと吸ったくらいで食べるのが一番おいしい。
とのこと。
私はそれまで、おにぎりの海苔は、別々にしておいて
パリパリの海苔で巻いて食べるほうがおいしいのかと思っていたのですが
確かに言われたとおり、アツアツのごはんに海苔をまいて、ちょっとしなっとしたところを食べてみると
ふわっと海苔の香りがたつ。
パリパリの食感を楽しむのとは違って
海苔の香りを楽しむなら、この食べ方だなと、納得しました。
海苔って、おにぎりの時くらいしか食べないという人もいるかもしれませんが
最初に書いたように、
実は、ビタミンとミネラルの宝庫。
サプリメントを飲むような気持ちで、おやつに焼き海苔一枚食べる!!
そんな食べ方もありだと思いますよ。
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今日の「日めくりレシピ」は「鶏むね肉の磯辺揚げ」
ふわっと磯の香りが口に広がる一品。
湿った海苔でも大丈夫。揚げるとふわっと香りが立ちます。
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