家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
かつて、みのもんたさんの思いっきりテレビで
ピーマンがいいとなれば、ワーッとみんながピーマンを買い
次の日には、ジャガイモがいいということになって、今度はワーッとジャガイモを買う。
受け身の消費者は
やれ、あれを食べろ、あれは体にいい、あれは食べてはだめだという話題に右往左往
考えてみたら、それはなにも、思いっきりテレビだけがあおっていたわけではなく
ずーっと前から、うまい具合にあおられていたのかも。
そんなヘルシーファッションフード100年の食文化史、
あるいは、健康をめぐるメデイア史をまとめたのがこの本。
著者は
「ファッションフードあります。
はやりの食べ物クロニクル1970~2010」(紀伊国屋書店)
で、食べ物ブームを一冊にまとめて
読者をあの時代にどっぷりタイムスリップさせて楽しませてくれた
ファッションフード研究家。
著者のプロローグによると
時代ごとにめまぐるしく変わってきたファッションフードに
いつでも変わらない一つの底流が存在してきた。
それが「健康欲」。
肉を食べるべきか、粗食がいいのか
炭水化物を食べるべきか、食べないべきか
あれは買ってもいいですが、あれを買ってはいけません。
うん、食べるな、危険!?
リンゴダイエットに朝バナナダイエット
れこーでイングダイエットに、トマト寒天ダイエット
サプリメントで健康維持
ポリフェノールに、長寿遺伝子
嗚呼・・・・
そういえば、そういうのあったあった、と懐かしく思い出す食べ物&健康法
あのダイエットブームは、あの人のアンナ体験談から火が付いたのか、とか
ブームになった、あの食べ物のその後とか
そういう、週刊誌的なノリで、結構楽しめます。
食欲とか出世欲とか、いろんな欲があるけど
健康欲とは、言いえて妙。
これを食べれば、元気で長生き
いつまでも若々しく、美しくいられる
その殺し文句に、私も弱いですが、世の中の大多数の人も弱いですね~。
そんな中で
健康情報に振り回されないために
というタイトルで書かれたエピローグが特に面白い。
アベノミクスの成長戦略の一つとして
健康食品の効能を自由に表示できる、新しい制度を作ることが決まったらしい。
なんでも現在は
国から「トクホ」のような認定を受けなければ「強い骨を作る」みたいな効果を商品に表示することはできないのだけれど
これには、ものすごくお金がかかり、中小企業や、小規模経営者は、その表示ができないことで不利になるため
国から認定を受けていないということを明記すれば
その食品の健康効果を自由に明記することができるということらしい。
この制度が解禁された暁には
いろんな食品が、
「抗酸化作用の強いリコピンで生活習慣病の予防に」とか
「EPAで中性脂肪を減らす」とか
われもわれもと、効果をうたうことになる。
そうなると、すべての食品がヘルシーフョッションフードになるので
逆に健康情報に煩わされることがなくなるのではないかというのが
著者の結論。
確かに、あらゆる食べ物が、あれに効く、これに効果的と謳いだしたら
何を食べたって、効くものが効くし、効かないものは効かないんだ~!!
と、逆に開き直れるかもね。
前に、「食べるな危険」という本がベストセラーになった時
あんなもの読むと、食べられるものがなくなるから絶対読まないという人と
じっくり読んで、自分の身は自分で守らなければとストイックになった人と
2派に分かれたけど
あのとき
いいところだけ、拾い読みしたり、人から話を聞いて
フーン、あれ危ないんだ~、じゃあ、あんまり食べないでおこ~
みたいな、ゆるーい関わりをした人たち
なんやかんやゆっても、結局は健康で、長生きするのはこういうひとなんだろうなな~、と思った。
情報にうといわけではなく
知ることは必要だけれど、それにとらわれず
黒でもなく白でもないグレーのところで
あっち行ったりこっち行ったりしながら均衡を保って暮らす
そのくらいが一番いいのかもね
すべての食品に、健康の効能が書かれたとき
そのラベルを確認することで
今日もこれで、自分の健康は安心と思うんだろうか。
でもその時
青い鳥は、またしてもするりとかごから逃げて
健康の先にある、自分の生きがいとか、必要とされることとか、自分の本当にやりたいこととか。
自分の本当に求めているものは、健康の向こう側にあるということに気付くのかも。
*******************************
今日の「日めくりレシピ」は「つる豆の粉チーズ炒め」
週末スペシャルは、ご当地野菜のレシピを紹介しています。
つる豆は、今回初めて料理したので、ちょっと苦労しました。
独特な香りがあるので、香りのある粉チーズを合わせました。
「日めくりレシピ」はツイッターでも毎日お知らせしています。
奥薗壽子で検索を!!
コメント