でいりいおくじょのBLOG

2014.05.01

読書日記 「捨てる女」(内澤旬子著 本の雑誌社)

 

私事ですが
 

かわいがっていたハムスターが天寿を全うしまして
 

なんか寂しいな~と思いつつふと立ち寄ったペットショップで
 

一匹の子犬と目があってしまい
 

まさかの衝動買い(飼い?)をしてしまいました。
 
 
 

犬がいたら、人生楽しいだろうなあ、
 

ということはなんとな~く思っていたことではありますが
 

実際に子犬がいる生活というのは想像以上で
 

なんか、物事の優先順位が見事にひっくり返ってしまいますねえ。
 
 

家の中にあるあれやこれや、いままで大事だと思っていたものが
 

にわかに、どうでもいいガラクタに見えてきて
 

一気にすててしまいたい衝動に駆られています。
 
 
 

見境なく物を捨てる前に、読んでおこうと思ったのがこの本。
 
 
 

著者は内澤旬子さんはフリーのライター&イラストレーター
 

世界中の畜場をルポした「世界屠畜紀行」では
 

繊細で緻密なイラストはもちろん、
 

屠畜という、言ってみれば未知なる世界(見ないふりできるものならしたいような世界)を、
 

よくもまあ、これだけ丁寧にというほどの詳しいルポをされており
 

まあ、普通の人じゃないなということは感じておりました。
 
 
 

ある時、内澤さんのインタビュー記事を雑誌で読んでいたら
 

屠畜に興味をもった理由というのが
 

そもそも、本のことが好きすぎて、製本に興味を持ち
 

本作りにのめり込んでいるうちに
 

本の表紙に使う動物の皮に興味が向いたところが始まりらしい。
 
 
 

ますます、普通の人じゃない・・・。
 
 
 

さて、この本ですが
 

著者の内澤さん、乳がんになられたことをきっかけに
 

ゴタゴタした家の中にいると、具合が悪くなるようになり
 

なんにもないところで暮らしたいという衝動抑えきれず、
 

捨てる生活に突入されるわけです。
 

その6年間の顛末を書いたのがこの本です。
 
 
 

私も数年前のGW
、はやりの断捨離にハマって
 

最初はソロリソロリと捨てていたのが
 

だんだん調子に乗ってきて、気も大きくなり
 

最終的に、自動車まで捨てて(廃車ってことです)、一応一段落。
 

あの時の、何かにとりつかれたようにものを捨てまくった自分と重なるところ多し。
 
 
 

この本の中で、内澤さんが一番苦労されたのが
 

やっぱりものすごい量の蔵書とイラスト原画。
 
 
 

私もどうしても捨てられなかったのが本だったので
 

ますます共感。
 
 
 

いまでも本棚7つ分の本と
 

(しかも一段に本が前後に入っている)
 

無印の布製の箱5つに、本がバッサバッサと入っていて
 

更に、あちこち本が散乱している状態で
 
 
 

内澤さんもみたいに、外国の古本市で出会ったような希少価値の本はありませんが
 

昔の料理の本というのは
 

私なりには、めちゃめちゃ貴重で
 

というか、本ってやっぱり、その時それを買った時、参考にしていた頃の
 

時代やら、時間やら、自分の周りの状況やら
 

もう色んな物を本がタップリと含んでいるので
 

それはもう、単なる本じゃないんですよね。
 
 
 

もちろん、日々増えていく本をほおっておくと
 

生活スペースがどんどん侵食されていくので
 

食に関係ない本は、なるべく売ったり、人にあげたりはしているのですが
 

食に関する本は、今のところやっぱり処分できません。
 

(内澤さんみたいに、自分の死が射程内に入ったら、処分できるのかなあ)
 
 
 

それにしても、捨てるというのは、なんと難しいことなのでしょう。
 

この本を読んでつくづく思いました。
 
 
 

なんやかんやいって、手に入れる方は簡単なんですよ。
 

でも、どんなしょうもないものでも
 

いざ捨てるとなると、
 

気持ちの問題+燃えるゴミ、燃えないごみ、地球環境など
 

いろんなことが付随してくる。
 
 
 

それじゃあ、きちんと整理すりゃいいじゃないかという話だけど
 

収納のキャパと持っているものの量が、そもそも合っていないわけし
 

収納できる量に厳選して手元に置けばと思うけど
 

その選別ができないから、大変なことになっているわけで。
 
 
 

で、内澤さんはというと
 

思い切って、大量の本もイラスト原画も処分してしまいます。
 

結果、スカッと気分良くなったかというと、
 

まさかの鬱状態。
 
 
 

そして、最後には、明らかに捨てすぎました、と反省。
 
 
 

私も読んでいて思いました。
 

明らかに捨てすぎです。
 

笑っちゃいけいないけど
 

笑っちゃいます。
 
 
 

でもね、笑いながら、自分のことも笑っちゃう。
 

捨てちゃって後悔する人も
 

捨てられずに悶々と悩む人も
 

結局は同じで
 

どっちも間違っていないし、人間らしいじゃないのって思う。
 
 
 

うん、いいんだ、いいんだ。
 

自分の好きな本に囲まれて
 

ベットと仕事机以外の空間がどんどん本に侵食されても・・・
 
 
 

・・・と、危うく自分の生活を肯定しそうになったところで
 

子犬の顔が頭に浮かぶ。
 
 
 

うっかり仕事部屋に入ってしまった子犬の上に
 

あちこちに積み上げられた本が雪崩をおこし
 

犬が遭難事故にあってしまったらどうする?
 
 
 

いやいや、それは大変!!!!
 
 
 

というわけで、
 

この大量の本をどう整理するか
 

再び頭を悩ましている私なのでした。
 

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