家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
私の祖母の田舎は京都から山陰線という電車に乗って
(私が子供のころは蒸気機関車だった・・・)
保津川下りで有名な観光スポット保津川駅よりもっと先の
八木という小さな駅で降りて
そこから、まだ車でずーっと入っていった小さな集落。
見渡す限り田圃と畑ばっかりで、ずーっと遠くに山が見える、そんなとこ。
祖母の田舎のお正月といえば、毎年たくさんの親戚が集まって
鶏のすきやきというのがお決まりでした。
近所にスーパーのように、すぐに買い物ができるところがないので
野菜は自給自足
鶏肉は、近所の養鶏所に電話して必要な分を、その都度絞めてもらう。
そうすると、すき焼き用にそぎ切りされた肉が、新鮮な内臓とともに届けられ
さっそくすき焼きが始まるわけです。
(内臓も全部すきやきに入れるんですけど、それがまたおいしい!)
考えてみたら、贅沢ですね。
そんなわけで、鶏のすきやきには、懐かしさや思い入れがたくさん詰まっていて
お正月が近づくと、無性に食べたくなります。
そんなわけで、先日娘の友達が遊びに来たので
鶏のすきやき、作りました。
鶏肉だとね、ちょっと奮発して良い鶏肉を買っても
牛に比べたら全然安いので、おなかいっぱい食べることができるのがいいとこ。
作り方は、関西風のすきやきの作り方なんですけど
我が家で何回も作っていくうちに、私なりに工夫した作り方があります。
まず、鶏肉は最初に入れるのはもも。
鶏の脂を最初に引き出して、その脂のコクで野菜や豆腐なんかをおいしくしたいので。
最初に入れる鶏もも肉は皮付きのままそぎ切り。
食卓の上で追加して食べる分は、皮を取ってそぎきり。
(追加する分は、胸肉やささみでもOK)
とった皮は、一番最初にすき焼き用の鍋に入れて火にかけます。
ほら、牛のすきやきでも最初に牛脂を溶かして、それでお肉を焼いたりするでしょ?
あんな感じで、鶏の脂を皮から引き出すんです。
あまり触らずにじっくり加熱すると、じくじくと脂がしみだしてくるので
油が出たところで皮付きのモモ肉を、皮目を下にしてじっくり焼くんです。
これでさらに鶏の脂が出るし、皮目が焼けて香ばしさがプラスされます。
片面がカリッと香ばしくなったら、サッとひと混ぜして
最初に砂糖としょうゆを結構たっぷり入れてひと混ぜ。
ここが関西風。
割りしたっていうのは使わないんです。
砂糖としょうゆがじくじくと溶けて、肉にからまって
とりあえず、この状態でお肉をちょっとつまむ。
この最初の、この段階で食べるお肉は、この段階でしか味わえないおいしさがあるので
絶対、味見したほうがいいんです。
あとは、肉を片側に寄せて、空いたところに玉ねぎ、豆腐、ネギ、キノコなど
水の出やすい食材を入れ、日本酒をぶわーっとまわしかけ
鶏の脂のコクと、肉から出たうまみがで、野菜をぐつぐつと煮るだけ
もうここからは、普通のすきやきと一緒ですね。
ぐつぐつしている野菜と鶏肉を煮えたところから食べて
一通り食べたら、今度は皮のついていない肉を入れ、砂糖としょうゆを酒をその上に振りかけて、ぐつぐつ。
2回目以降の鶏肉は、甘辛味でサッと煮て食べることになるので、皮がついていないほうが食べやすいと思うんですよね。
あっ、それと、我が家のすきやきは、トマトは必須です。
クシに切ったトマトを入れて、サッと加熱で食べるもよし
くたっと煮てから食べるもよしです。
トマトって水分が出るので、トマトを入れることで煮詰まるのを防げるし
すき焼きって砂糖としょうゆの味付けなので、ちょっと重たいと思うんだけど
トマトの酸味が入ることで、ぐっと軽くなるんです。
しめはやっぱりうどんかな。
私はきしめんみたいな、平たい麺を入れるのも好きなんだけど
この日は、買い置きの冷凍うどん。
少し鍋に湯を入れて、鍋底に焦げ付いているうまみなんかをこそげとってからうどんを入れ
おいしいとこを全部うどんにからめる。
もうおなかいっぱいだわ~と思っていても、ついつい食べちゃう美味しさです~。
牛肉だとね、
やっぱり値段とおいしさって、確実に比例するから
今日は、すき焼きするぞーって、ちょっと頑張らないとできない感じがするけど
鶏のすきやきなら、今日はすきやきでもするか~って感じで気楽にできるんですね。
ですから、お正月は、ちょっと奮発して牛肉のすきやきにするとして
お正月前のこの時期は、鶏のすきやきっていうのもいいんじゃないかなと思うんです。
いかがですか?
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今日の「日めくりレシピ」は
「とろろ豆腐のあんかけ」
長いもをたたいて砕いて豆腐と混ぜて、チンするだけ。
簡単だけど、ちょっと品のいい一品です。
寒い日、温かいおかずは身も心もほっこり。
ストレス解消しつつ、長芋バンバン叩いて作ってみてください。
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