でいりいおくじょのBLOG

2021.02.17

映画日記「長いお別れ」

家族が年をとり

少しずつ、いろんなことが変化していく

というようなテーマの本が、気になる今日この頃。

 

やっぱり、これ、現実問題としてリアルに心に響くんです。

 

「長いお別れ」も本で読み

本当にいい話だったので、映画も見てみました。

 

学校の校長先生まで務めた厳格なお父さん(山崎努)が

ある時を境にボケが始まるんです。

 

ひょうひょうとしているお母さん(松原智恵子)は、全く動じず

これまでと変わらずお父さんの世話をしながら普通に暮らしています。

 

二人の娘のうちの姉の方は、家族でアメリカで暮らしており

アメリカの暮らしになれなくて心細いし

なかなか日本の様子がわからないことで

やきもき、もやもやしています。

 

妹は妹で

自分の仕事も、恋人との関係もうまくいかなくて

なかなか実家にも帰れません。

 

どこにでもいそうな普通の家族

みんなものすごーく幸せってわけではないのかもしれないけれど

それでも、まあ、毎日なんとか暮らしている、

 

お父さんの痴ほう症が少しずつ進行していく中で

自分たちはどんな風に家族になり

これまで、どんな風に過ごし

お互いに対して、どんな風に思ってきたか

を思い出したり、再確認していくのです。

 

アメリカでは

痴呆症のことをロンググットバイというそうで

 

確かに、ゆっくりゆっくり過去を忘れ

自分自身のことを忘れ

これまで生きて生きたことや

経験したこともすべて忘れ

ゆっくりゆっくり、すべてを忘れて死んでいく

 

ロンググットバイ、長いお別れ、

言いえて妙です。

 

痴呆症になった本人は

自分自身は病気により

家族このことも、

自分自身のことも忘れ

これまで生きてきたことに対して、ゆっくゆっくりサヨナラでき

 

残された家族は

その分、いろんなことを思い出したり

幸せな思い出が、より鮮明に心に刻まれ

自分たちのかぞくについて再確認できる。

 

残された方にとっても、長いお別れの時間は貴重です。

 

さよならだけれど、さよならじゃない

ゆっくり、ゆっくりのさよなら。

 

痴呆症になって、ぼけるのは嫌だなあと思っていましたが

この本を読み、この映画を見ると

少し考え方が変わりました。

 

ストーリはもちろん

俳優さんの演技も、皆さん素晴らしかった。

 

特に、昔、お母さんと娘二人が遊園地に行ったとき夕立に会い

お父さんが傘を持って迎えに来たことがあったのを

痴ほう症になったお父さんが、なぜか思い出し

訳が分からないまま、遊園地に傘を持っていくシーンがあるんです。

 

メリーゴーランドに乗って、にっこり笑っているお父さん

心だけはあの頃に戻って、本当にうれしそうに笑っているシーンは

山崎努さんの演技の旨さもあるのだけれど

本当に号泣しました。

 

これ以外にも

何度も、何度も泣けました。

 

心が優しくなるような

本当にいい映画でした、おすすめです。

2021年2月17日映画

コメント

  1. ゆり より:

    奥薗先生

    素晴らしい映画の紹介、ありがとうございました!心を揺さぶる映画や書籍はまさしく心の栄養源ですね。
    特に私はアルツハイマーの姑と同居していますので、今回の映画内容は自分ごととして「絶対観なくては!」と感じました。まさしく、認知症は「長いお別れ」の病です。色んなことをだんだんと忘れていく姑と一緒に暮らしていると、そのことが痛いほど分かります。昨日は息子の誕生日で、姑と一緒に家族だけのパーティーをしました。
    来年の今頃はもう、姑は孫の名前も誕生日も忘れてしまっているかもしれません。今この時が、本当に貴重だと感じられるひと時でした。
    ありがとうございました!

    1. 奥薗壽子 より:

      長いお別れっていうのはいい言葉ですね。
      この映画は、本当にその言葉の意味がよく分かるいい映画でした
      是非是非見て下さい。・
      日々の暮らしを大切にお過ごしください。

  2. ママデューク より:

    「長いお別れ」(監督 中野量太 127分)、Amazonプライムビデオで観ました📺
    家にいても「家に帰る」と言って徘徊したり、本を逆さに持って真面目に読んでいたり、厳格な顔でメリーゴーランドに乗っていたりする所はコミカルさがあり、父親のシモの世話をしたり、むせないようにジャガイモをすってポタージュにする所は介助のリアルさを感じました👴👵
    ウチの母も82歳。今の所はボケておらず、会話の返しやリアクションもはやいけど、いつボケるか?という不安があります。この映画のように家族が暖かく見守ってくれればいいけれど、ボクのような8050問題、黄昏同居、介護退職している人達は余裕がなく介護でもっと追い詰められてる感じがボクはします。超少子高齢化社会の日本、介助する人も介助される人もタイヘンそうだとボクは思いました。
    それでは失礼致しますf@

    1. 奥薗壽子 より:

      おっしゃる通り、現実はもっともっと厳しいんだろうなあと思います。
      でも、原作の小説もそうなんですが
      物語の中だけでも。やさしい気持ちになれたらいいんじゃないかなあと思うんです
      これから、高齢化社会に突入するわけだし
      できるだけ、笑って年を取りたいなあと思います。
      映画、見て下さって、いい感想を書いてくださって、ありがとう。 

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