でいりいおくじょのBLOG

2021.03.10

読書日記「逆ソクラテス」

本屋大賞候補作4冊目

読み終わりました。

 

「逆ソクラテス」(伊坂幸太郎著 集英社)

 

伊坂幸太郎さんは

デビュー作の「オーディユポンの祈り」から

ずーっと読み続けている作家さんです

 

でも、正直に白状すると

最初の頃、そんなに好きじゃなかったんです。

かなりの人気作家さんだったので

話題になっていたから読んだって感じ。

 

結構、えぐいシーンとか、たくさん出てきて

なんか、救いようがない感じがしたんですよね。

 

ところが、「ゴールデンスランバー」を読んだ時は

(この本で、本屋大賞を取っておられんですね)

ああ、私、この話好きかもって思いはじめて。

 

なんか、それまでの作風と、ちょっと違うなあって思ったんです。

そうしたら、(たぶん、この本のあとがきだったと思うんですが)

奥さんから、このままの作風だと、作家生命長くないよ

みたいなことを言われて

作風を軌道修正した、って書いておられました。

 

奥さんすごーい!!

 

だから、そのあとの作品は、

なんとなく、じわっと温かいものが感じられたり

ほのぼのとした優しさが感じられたりで

ものすごーく好きになりました。

 

そんな中で、今回のこの本。

 

一言で、感想を言うならば

伊坂幸太郎さんの作品の中で、一番好きです。

伊坂幸太郎さんの全作品の中で、最高傑作だと私は思いました。

 

それほど素晴らしかったです。

 

小学生、中学生、高校生、社会人

と、登場人物の年齢が若いというのが、これまでにないところで

 

あとがきの所でも

そこを、自分らしく書くのが難しかった

というようなことを書いておられました。

 

けれど、さすが、伊坂幸太郎さん

説教くさくなく、かといって、さらっとしすぎず

じわっと感動するところもあり

伊坂幸太郎さんっぽい、グレーな感じの部分もあり

 

ストーリーを説明するのがすごく難しい本なのですが

 

たとえば、

タイトルの逆ソクラテスについて。

逆ソクラテスって何か。

 

ソクラテスといえば”無知の知”ですね。

自分は何も知らないけれど、知らないということを知っている

ということを言った人。

 

自分は何も知らないということを知っていれば

人に対して寛容にもなれ

謙虚にもなれ、許すことも、教えを乞うこともできる。

 

逆ソクラテスというのは、その逆なんです

自分は何でも知っていると思っていて

自分は絶対正しいと思っているから

自分の価値観を人に押し付け、決して他人を認めようとしない

そういう人のことを言うのだそう。

 

もしかして

自分は、知らず知らずのうちに逆ソクラテスになっていないか?

って、自分を振り返り、戒めてみたりしました。

気をつけねば、

 

 

これは、この本に書かれたお話の、ごくごく一部。

そんな、ああ、そうだなあ、っていうようなことが

この本の中にはたくさん出てきて

本当に、じわっときます。

 

最後は、心がじわっと温かくなります。

これは、本当にいい本でした。

本当におすすめです。

 

私的には、今のところ

本屋大賞暫定一位です。

2021年3月9日

コメント

  1. ぷーちん より:

    私も伊坂幸太郎の小説が好きです。
    エグい描写、笑えるシーン、ドキドキさせられる場面もありますが、ほのぼのさせられるもの、社会問題を扱ってるもの、いろんなタイプがありますよね。
    この逆ソクラテスを読むまでは、私のランキングで「死神の精度」が1位だったのですが、読後入れ替わりました!

    「先入観」
    私も思わず、自分を振り返ってみました。
    皆さんに、是非お勧めしたい本です。

    ポテトサラダのじゃがいも、奥薗さんのやり方で作り始めました!簡単で洗い物もなく、忙しい時でもポテトサラダの出番が増えました!
    ありごとうございます!

    1. 奥薗壽子 より:

      伊坂幸太郎さんはすごいですね。
      小説もいいですが、あとがきもまた秀逸です。
      あとがきを読むだけで伊坂幸太郎ファンになると思います。
      逆ソクラテス、いい話でしたねえ。今思い出してもいい話。
      死神の精度、読んだことがなかったので読んでみます。
      いい本を教えて下さって、ありがとう。

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