でいりいおくじょのBLOG

2013.04.29

日本人の「食欲」は世界をどう変えた?

この前、ファッシションフードの本で
すごい勢いで入ってきた外国の食文化の流れを目の当たりにしました。
けれど、その中で、日本の食卓はただ、異文化や流行を受け入れただけではなく
その一方で、日本人の食が外国に影響を与え始めていることも示唆されていました。
そのことについて
もっと詳しく知りたくて読んだ本があります。
 
『日本人の「食欲」は世界をどう変えた?』
(鈴木裕明著 メデイアファクトリー新書)
 
著者は商社に所属するエコノミスト
商社という特殊な立場から、
日本の食糧事情について国際経済学の考え方にそって書かれています。
 
本の冒頭は
食料自給率で日本がわかる、ということで
食料自給率の話から始まります。
 
食料自給率40%
こういう数字を見ると、こんな自給率が低くていいのか
という話になりますが
この数字について、
なぜこんなに低いのかということ、あまり考えたことがありませんでした。
ただ、漠然と危機感があっただけで。
 
そもそも、食料自給率っていうのは
生産額ベースと、カロリーベースと、重量ベースで表す方法があって
この40%っていうのはカロリーベースで表した数字で
生産額ベースで表したら、70%になるんだそうです。
 
で、個別の品目におけるカロリーベースの自給率をみてみると(2009年度)
米 96%
野菜 80%
魚介類 62%
など、軒並み高くて
 
低いのは
油脂類  3%
小麦粉  9%
畜産品17%
(輸入飼料を使って育てた分を加えると69%になるそうです)
 
つまり、カロリーの高いものを輸入に頼っているから
自給率としての数字が低くなるわけで
米や、野菜なんかは、自給率高いんですよね。
 
たしかに、自分自身の日々買っているものとかスーパーで売っているものを考えてみても
極力国産品を買っていて、
正直、輸入食品が60%も食卓に並んでいる感覚なんて全くないんですよね。
それはつまり、こういうこと。
 
国産の肉を買っても、輸入の飼料で育っていれば自給率として国産にカウントされないし
油や小麦粉は輸入品という意識があまりない・・・。
 
そもそも、食料自給率が40%まで下がった理由としては
日本人の食が多様化したこと。
少しのおかずでお腹いっぱいご飯を食べていた頃は
確かに、自給率は高かったかもしれませんが
主食もご飯だけではなくパンも麺も食べるし
肉や魚だって、色んな物を食べるようになりました。
 
だから、この著者が書いておられるように
ただ単に自給率をあげればいいというものでもないというのは同感。
 
けれど、TPPへの参加が決まって
懸念されるのは
聖域として守られてきたコメや野菜といった食の中心となる食材に
何らかの変化が起きるのではないかということ。
 
課税が撤廃されて
安い外国産が無防備に入ってきた時
自分自身は、やっぱり国産を選びたいとは思っているけれど
どんな風に市場に変化が起こるのか、正直不安。
選択の自由が増えたとか安く色んな物が手に入るようになったからといって
豊かになったと喜べるのかなあ。
 
今や世界各地で日本食ブームがおこっているそうで
先日もテレビで
外国の日本食レストランで働くために
お寿司の学校で学んでいる人たちのドキュメンタリーをみました。
こういうのも見ると、
日本の食材を輸出戦略の一つに考えるのも
ありなんだろうなあ、とは思いますが
 
なんかこういうのも
結局、二極化されて
うまくその流れに乗れるような大手はいいけれど
まじめにコツコツ、農業を支えてくださった農家に
しわよせが来ないことを祈るばかり。
 
先日、新聞にユニクロの社長の話が載っていて
グローバル化された社会では
「grow or die」
(成長か、あるいは死)
だとおっしゃっていて
すごい世の中になったなあと、ちょっと怖くなりました。
 
少しスピードを落として、死なないように生きる方法があるのでは、と
私自身は、やっぱり思ってしまうのです。

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