家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
円空という名前を初めて知ったのは
梅原猛先生の
「歓喜する円空」〈新潮社〉
という本でした。
先生の本は難しいことをとっても優しい日本語で書いてあるし
知ることがこんなに楽しいのかということを
しみじみ教えてくださるので、大好きなのです。
特に
「梅原猛の授業 仏教」〈朝日新聞社〉は
京都の洛南高校附属中学高で
中学生のための仏教の授業をまとめた本なのですが
もうこれは、大人が読んでも面白い本で、おすすめです。
「カラマーゾフの兄弟」についての説明などは
自分で「カラマーゾフの兄弟」を読むよりも、
ここに書かれた先生の説明を読むほうが、はるかにはるかによく理解できます、ホント。
そんなわけで梅原先生の手にかかると、仏教も面白いなあと思い
梅原先生の本を読むうちに行き着いたのが円空だったのです。
「歓喜する円空」は
梅原先生の溢れ出る知的好奇心に圧倒されて
実は、正直歯が立たず、1/3ほど読んで挫折してしまったのですが
それでも表紙にある、円空の仏像写真には、今までにない衝撃を受けました。
今まで見たこともないような仏様たち
しかも、なんとも言えない温かさと優しさがあって
ずーっといつまでも見ていたくなるような。
その円空の仏像展が年明けから東京国立博物館で開催されていて
行きたい行きたいと思いつつ
やっと行って来ました!!
写真で見てもいいですが、実物を拝見すると
やっぱり、しみじみ癒されました。
円空の仏像の特徴は
木をたてに半分に切って〈あるいはもう半分に切って〉
その木の節や皮目や、歪みなどをそのまま生かして仏様にしているところ。
だから、本当に木がそのまま命を宿しているよう。
切り落とした木の欠片も
全て、小さな仏様に仕上げて
村の人達に分け与えたと言われています。
まさに
草木国土悉皆成仏
草にも木にも、仏は宿っていると思えてきます。
31体の観音像というのがあって
それは普段はお寺にしまわれているのだけれど
村で病人が出ると、貸し出されて、病人の枕元に置かれたのだそう。
枕元に置かれた観音様を見ることで
病気の人は、どんなに心救われただろう、と思います。
とっても小さくて素朴な宇賀神像もありました。
宇賀神は、身体が蛇で頭が老婆。
食べ物や豊穣の神様だそうです。
本当に素朴で、とってもシンプルで
目鼻なども、細い線でちゃっちゃっと切り込みを入れただけのようなお顔で
なのに、それがなんとも味わい深くて、可愛らしいのです。
帰りに、出口の所で、
この宇賀神様の絵葉書を買いました。
あらゆるものに命があり
その生命を頂いているという気持ちを忘れないように
台所に飾っておこうと思ったのでした。
この円空展、あと一週間くらいで終わります。
上野のサクラ、散りかけかもわかりませんが
桜見物がてら円空展に立ち寄るというのもおすすめです。
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