でいりいおくじょのBLOG

2021.09.23

お弁当の卵焼き

中学生の頃

お弁当にいつも美味しそうな卵焼きを持ってくる友達がいて

私は、それがうらやまして仕方ありませんでした。

 

いや、見るからにおいしそうだから、間違いなく美味しいとは思うんだけれど

その子が、

うちのお母さんの卵焼きはおいしい

みたいなことを、実際に言ったりしていたので

ますます、うらやましくなるわけです。

 

というのも

うちの母は料理が大の苦手で

卵焼きを作る技術も、作る気もない人だったので

卵焼きが入っていることがなかったから。

 

お弁当はいつも茶系です。

 

最初は

その友達がおいしそうに卵焼きを食べるのをチラチラ見るだけだったんだけれど

 

だんだん

うらやましさはつのる、つのる、つのる。

 

そうしたら、ある日

その子が

「一切れ食べる?」

って言ってくれたんです。

 

たぶん

知らず知らずのうちに、口を開けてよだれを流さんばかりの顔つきでみつめていたんだと思う

 

えっ、いいの?いいの?ほんとにいいの?

 

あっ、でもでも、私お返しできるおかずないし…。

 

いいよいいよ、一切れ食べて。

 

おおーっ、

その友達の顔が天使に見えました。

 

で、その卵焼き

しっとり柔らかく、塩としょうゆと、かすかな甘み

そして、じわっと広がるだしの旨味。

 

ああ、この世のものとは思えないおいしさ・・・。

 

私が、その美味しさにあまりにも感激したからなのか

 

その友達

次の日から、私の分まで卵焼きを持ってきてくれるようになりました。

 

もつべきものは友達ですな。

私は、それから、とっても幸せな中学時代を過ごしたのでありました。

 

以来、卵焼きには、めちゃめちゃ思い入れがありまして

その後、自分でも作るようになり

子供のお弁当には、必ず卵焼きを入れていました

 

たぶん

私が、子供の時にかなわなかった想いを、そこに込めていたんだと思います。

 

卵焼きって

物語のある食べ物ですね。

2021年9月22日虎之助

コメント

  1. 泉州のおばちゃん より:

    卵焼きの思い出、私にもあります。
    北海道生まれの私は卵焼きは甘くて当たり前の食べ物でした。ところが中2の時、大阪に越して来て、食べた卵焼きは別物でした。出汁の効いた塩味で、食文化の違いにあぜんとしました。しかも友達のお弁当には、料亭みたいな卵焼き、小さな俵型のおにぎり、沢山のおかず…三角のお握りが作れるようになって自慢で自分で作ったお弁当を持って行った遠足なのに辛い思い出になりました。それ以来、だし巻き卵に魅せられて繰り返し作り、結婚して4人の子供達の自慢のお弁当の一品になりました。2年前、北海道を旅行した時、食べた甘い卵焼き、懐かしくて、甘くて…これは、これでやっぱり美味しくて私の母の味でした。忘れていた卵焼きの思い出を朝から懐かしみほっこりしました。

    1. 奥薗壽子 より:

      卵焼きの味は、なんか深―いところで自分の中に残っていますよね。
      私は関西人なので、ずーっとだしと塩の味の卵焼きです。
      甘い卵焼きに挑戦したこともありますが、どこが正解なのかいまだにわかりません。
      卵焼きに正解はなく、自分が好きな味が正解なのだと今は思っています。
      コメント、ありがとうございました。

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